上野の世界遺産

承前*1

朝日新聞』の記事;


西洋美術館本館などが世界文化遺産に コルビュジエ作品

2016年7月17日17時28分

 トルコのイスタンブールで開かれているユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会は17日、国立西洋美術館本館(東京都台東区*2を含む「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献」について、世界文化遺産として登録することを決めた。日仏などが共同推薦し、2009年、11年の委員会では登録が見送られ、今回が3度目の挑戦だった。

 国内の世界遺産は20件目(文化遺産16件、自然遺産4件)で、東京都内では初めての世界文化遺産。16日に審議予定だったが、トルコのクーデター未遂を受け、審議を延期していた。

 登録されたのは、フランスの建築家ル・コルビュジエ(1887〜1965)が設計した、フランス・日本・ドイツ・スイス・ベルギー・アルゼンチン・インド7カ国にある個人邸宅や規格住宅、宗教建築、行政機関など計17作品で、複数の大陸にまたがる世界遺産は初めて。新しい建築の概念を広め、20世紀の「近代建築運動」に大きな影響を与えたことなどが、「顕著な普遍的価値がある」として評価された。
http://www.asahi.com/articles/ASJ7J05TWJ7HUCLV00N.html

「16日に審議予定だったが、トルコのクーデター未遂*3を受け、審議を延期していた」。これについては、『読売新聞』の記事;

トルコでのコルビュジエ世界遺産審査が中止に

読売新聞 7月16日(土)12時1分配信


 イスタンブールでは今月10日から、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会が開かれ、世界各国の代表団が滞在している。

 日本外務省によると、治安上の問題から、16日の登録審査は中止された。16日には、国立西洋美術館(東京都台東区)を含む7か国17資産で構成される「ル・コルビュジエの建築作品」の世界遺産登録が審議される見込みだった。

 「あと一歩というところなのに」と上野観光連盟の二木忠男会長(63)は、審議の行方に気をもむ。現地イスタンブールにいる太田雅久・台東区議長からは「戦闘機が飛ぶなどホテルから出られない状況」と連絡があったという。二木会長は「区を代表して現地入りしている人たちの安全が心配」と話した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160716-00050085-yom-ent

この「世界遺産登録」が20世紀に生まれた全体主義という思想/運動/体制を思考する契機になればいいと思う。ル・コルビュジエ*4スターリン主義ファシズムといった全体主義に魅せられ、加担していたのだった。また、フォーディズム*5やテイラー・システムに対しても。或いは、〈団地〉という仕掛け*6の誕生にもル・コルビュジエは大きく寄与しているのだった。
See also


Benoît Peeters “Le Corbusier plus facho que fada” http://next.liberation.fr/livres/2015/03/18/le-corbusier-plus-facho-que-fada_1223411


ところで、定冠詞を省いた「コルビュジエ」という表記も流通しているんだね(嘲)。