『朝日』は煽っていなかった

承前*1

赤木智弘*2サマータイム廃止は朝日新聞のせいだったんだよ! な、なんだってー!!」http://blogos.com/article/318933/


麻生太郎財務相は15日の閣議後会見で、昭和23年に導入された夏の時間を繰り上げるサマータイム(夏時間)が4年間で終わった理由について、「(終わったのは)朝日新聞の責任だぞ」とまくし立てる場面があった」という『産経新聞』の記事*3を巡って。


では、朝日新聞サマータイム廃止を煽ったかという点について。

朝日新聞記者の上丸洋一氏は、サマータイム閣議決定された1948年4月から、廃止法が成立した1952年3月までのあいだに50本の関連記事が朝日新聞に掲載されたが、廃止を主張した記事は一本もないとの旨をツイートしている*4


さて、では戦後すぐに導入されたサマータイムが廃止されたのはなぜなのか。

それについては「荻上チキ・Session-22」が、記事になった麻生氏による主張の音声を放送した上で、明確に論じている*5。番組では、当時の議事録を調べた上で、サマータイム廃止は決して朝日新聞などのマスメディアによる突き上げによる廃止ではなく、睡眠不足や労働時間が増えて過労に至る問題などがあり、廃止の声が議員の間でも高まり、中曽根康弘議員(当時)を代表としたサマータイム廃止法案がでるなどということがあり、結果、サマータイムは非効率的であるとして全会一致で廃止されたと報じた。 つまり議会制民主主義の働きによって、当時のサマータイムは廃止されたのである。

ちなみにその時の内閣は吉田茂内閣である。ああ、きっと麻生氏は吉田茂の業績を知らなかったのだろう。

因みに、吉田茂麻生太郎の外祖父*6
まあ、これは麻生問題というよりは産経問題というべきだろう。
ところで、この「サマータイム」問題は右か左か、親自民か反自民かというのとは別の位相の問題になっているようだ。そこら辺に気付いているので、安倍晋三も曖昧な態度を取っているわけだ。そもそもオリンピックに絡めた「サマータイム」というのは蜃気楼マターなのだった。