或る遺稿

NHKの報道;


5歳女児死亡事件 食事十分与えず両親逮捕
2018年6月6日 13時28分

東京 目黒区で、5歳の女の子が死亡し、33歳の父親が暴行を加えたとして逮捕・起訴された事件で、警視庁は、この父親と25歳の母親が十分な食事を与えなかったうえ、病院に連れて行かずに死亡させたとして、保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕しました。

ことし3月、東京 目黒区の船戸結愛ちゃん(当時5)が死亡し、父親の船戸雄大容疑者(33)が前の月の2月に自宅で結愛ちゃんの顔を殴るなどの暴行を加えて大けがをさせたとして、傷害の疑いで警視庁に逮捕され、その後、起訴されました。

警視庁がさらに捜査を進めた結果、雄大容疑者と母親の船戸優里容疑者(25)がことし1月下旬以降、結愛ちゃんに十分な食事を与えずに栄養失調状態にさせたうえ、その後、病院に連れて行かずに死亡させたとして、保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕しました。

これまでの調べによりますと、結愛ちゃんは、1月下旬に香川県から都内に引っ越したあと、雄大容疑者と一緒に暮らすようになり、その後、2か月ほどの間に体重が4キロほど減って、死亡した時には同じ年齢の子どもの平均から7キロ余り少ない12キロほどだったということです。

警視庁によりますと、調べに対し2人は容疑を認め、雄大容疑者は「しつけのつもりでやった」と供述しているほか、優里容疑者は逮捕前の調べに「自分の立場が危うくなることを恐れて見過ごしていた」と話していたということです。


「もうおねがい ゆるしてください」
警視庁によりますと、死亡した船戸結愛ちゃん(当時5)は、しつけと称して、毎日午前4時ごろに自分で起きて体重を測ったり、ひらがなを書く練習をしたりすることを命じられていました。
(略)
結愛ちゃんは父親に「太っている」と指摘されたことから、食事は1食につきスープ1杯か、おわんに半分のご飯とみそ汁などしか与えられず、ノートには自分で測った体重を毎日、書き記していたということです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180606/k10011466491000.html

「結愛ちゃんが鉛筆で書いた書き込み」は読む度に切なくなり、コピペするのも忍びないという引用者の自分勝手な理屈でカットすることにした。そのテクストは、


「「もうおねがい ゆるしてください」死亡した5歳女児のノート」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180606/k10011466621000.html
音喜多駿*1「「もうおねがいゆるして」防げなかった虐待死…東京都と児童相談所は何を変えるべきか」http://otokitashun.com/blog/daily/18123/


などに引用されている。先ず、5歳なのにこれだけきちんと言葉が綴れているということにはなまるをつけてあげなければいけないと思った。これから成長すれば、様々な言葉を綴ったり刻んだりすることができた筈なのに、これが遺稿になってしまったわけだ。
『スポーツ報知』の記事;


尾木ママ、虐待死の女の子のノートに涙…「邪魔になっても虐待して命奪わないで!」と訴え
2018年6月7日10時34分 スポーツ報知


 尾木ママこと教育評論家の尾木直樹氏(71)*2が7日、自身のブログを更新。東京都目黒区で5歳の女の子が虐待死し、両親が逮捕された事件で、女の子が「ゆるしてください」などと書いたノートが見つかっていたことに「涙で視界がボヤけて読めません」と悲痛な思いをつづった。

 尾木ママは「5歳の女の子が毎日一人四時に起きて、幼稚園・保育園も行かせてもらえず独習で練習、書けるようにさせられた平仮名でしっかりしっかり命乞いしてる叫び SOS 涙で視界がボヤけて読めません」と記述。

 「児相が関わっているのに 家庭訪問までしているのに 転居前には2回も児相が親から引き離し預かっていたこともあるというの明白な虐待リスクの高い女の子を命乞いの平仮名のSOS綴らせて救えなかった」とつづり、「児相や誰かを責めるつもりはありませんーーただ悔しくて情けなくて目覚めても胸が熱くなります もやもやします」と吐露した。そして「私たちの日本社会 こんなに悲しい女の子の命さえ救えないのでしょうか?辛いです、、」と記した。

 また、7日未明に更新したブログでは「連れ子が邪魔になっても、虐待して命奪わないで!!」とし、「邪魔ならどこか施設にでも預けてほしい!命奪わないでください!絶対に殺さないで!」と訴えていた。
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20180607-OHT1T50069.html

ところで、多くの虐待事件において、「しつけ」というのは虐待の口実にすぎないわけだが、この「父親」の場合、マジで「しつけ」だと思っていた可能性はあるようにも思えた。4時起きの字の練習も、相手が継子だからということではなく、実子でもこのくらいの大きさになればやらせていた可能性はあるんじゃないか。また、「しつけ」というのはこういうものだと、自分の経験その他を通して思いこんでいたのかも知れない。「親学」系の人々*3はどんな卓見を示しているのだろうか。
See also


「5歳女児死亡 両親「虐待発覚恐れ病院行かず」」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180606/k10011466821000.html