これも「混乱」?

京都新聞』の記事;


東大寺望める「バベルの塔」 京都・木津川
5/11(金) 17:00配信 京都新聞


 テーマパークのお城?いやいや巨大な巻き貝のオブジェか。奈良県と隣接する京都府最南端・木津川市の丘陵地に、見る者の想像をかき立てるユニークな建物がそびえる。正体は、木津川市州見台の配水塔「タツタタワー木津川市」(木津南配水池)だ。
 関西学研都市の建設で、木津南地区の人口が急増したのに伴い、1999年3月に完成した。景観に配慮された高さ47メートルの塔は、地元の特産品タケノコをイメージしている。れんが色のタイルで幾重にも囲まれた曲線の造形は、見る角度により表情を変える。
 「皮の中」には、約8000トン貯水できる上下二つのタンクを備え、高低差を利用して地域に行き渡らせる。
 迷路のようならせん階段を上って展望室に着くと、眼下に新しい街並みが広がり、南には東大寺大仏殿も望めた。
 近くに研究所を置く企業が、水道事業施設では珍しい命名権制度で愛称を付けた。6月の水道週間やクリスマス時期にはライトアップされ、地域のランドマークとして親しまれている。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180511-00000036-kyt-l26

この「バベルの塔」というのは新聞記者或いはデスクの言葉であって、「タツタタワー木津川市」とは取り敢えず無関係ということなのだろうか。安易に「バベル」という言葉を使わないでほしい。「バベル」とは「混乱」、特に言語的混乱を意味し、ようするに、単一の普遍言語が分裂し、多言語状態、コミュニケーション不可能性が出来することだ。「タツタタワー木津川市」によって、そんな「混乱」(「バベル」)が起こっているわけでもあるまい。
さて、「水道事業施設では珍しい命名権制度で愛称を付けた」「企業」というのは「タツタ電線株式会社」*1。「タツタ」からどうしても別の川を想起してしまう。在原業平*2が「ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは」と詠んだ「竜田川*3。これも或る意味では「混乱」?
古今和歌集 (岩波文庫)

古今和歌集 (岩波文庫)

百人一首 (新潮文庫 あ 6-1)

百人一首 (新潮文庫 あ 6-1)

*1:See タツタ電線「「タツタタワー 木津川市」のお披露目」http://www.tatsuta.co.jp/ir/index.php/newsrelease/paged/226 木津川市水道業務課「「タツタタワー 木津川市」の新銘板及びパートナーシップ調印について」http://www.city.kizugawa.lg.jp/index.cfm/6,17155,25,127,html

*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150516/1431788098

*3:See eg. 「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは <百人一首17>」https://blogs.yahoo.co.jp/kairouwait08/33505048.html 左大臣光永「ちはやぶる神代も聞かず竜田川http://sirdaizine.com/travel/Tatsuta.html