駒澤大学の隣の

Casa BRUTUS (カーサ・ブルータス) 2013年 12月号 [雑誌]

Casa BRUTUS (カーサ・ブルータス) 2013年 12月号 [雑誌]

Kana Umehara「誕生50周年の国民的名作『ぐりとぐら』の出発点は、カステラにありました。」『Casa Brutus』165、2013年12月、pp.46-51


特集「読み継ぐべき絵本の名作100」から。
中川李枝子さんへのインタヴューの部分から;


「当時、私は世田谷区のみどり保育園で働いていたんです。今の駒沢公園あたり。東京オリンピック前だから公園なんかなくて41万2300m2の広い広い原っぱがあるだけ。その片隅にある小さな保育園で私は毎日、今日は子供たちとどんな遊びをしようかと考えていたんです」
子供たちが大好きだったのは、原っぱのかけっこと本を読んでもらうことだった。
「なかでも『ちびくろ・さんぼ』はみんなが夢中になる一冊。ある日、園長先生がお話に登場するホットケーキを焼いてくれた。あのころの子供たちはホットケーキなんか知らないから大喜び。そのとき、私はホットケーキでこれだけ喜ぶなら、もっと卵をたくさん使うカステラだったら、子供たちはどれだけ驚くかしらと思いついた。とにかく、子供たちをびっくりさせて、喜んだ顔が見たい。その一心で物語を作りはじめたんです」(pp.48-49)
この話は、以前引用した福音館書店母の友編集部編『ぼくらのなまえはぐりとぐら』でも語られていたのだけれど*1
ぐりとぐら [ぐりとぐらの絵本] (こどものとも傑作集)

ぐりとぐら [ぐりとぐらの絵本] (こどものとも傑作集)

ぼくらのなまえは ぐりとぐら (福音館の単行本)

ぼくらのなまえは ぐりとぐら (福音館の単行本)

さて、『ちびくろ・さんぼ』だけど、私たちの世代では、(考えてみれば当たり前だけど)トラウマという言葉よりもトラ・バターの方を先に憶えたのだった。現在30歳前後の、政治的に正しい(笑)親に育てられた人だと、『ちびくろ・さんぼ』を読んだことがないというのも少なくないのだろうか。
ちびくろ・さんぼ

ちびくろ・さんぼ

ところで、この特集には佐野研二郎氏とエリック・カール*2との対談記事がある(「佐野研二郎さん、カールさんに一問一答。」、p.45)。オリンピックのエンブレムの剽窃騒動が起こるのは次の次の年だった*3