フル・ネーム

承前*1

小川たまか*2「“詩織さん”から伊藤詩織へ 本人が語った、今著書を出版する理由」https://news.yahoo.co.jp/byline/ogawatamaka/20171016-00076896/


山口敬之によるレイプを自らの顔を出して告白した「詩織さん」がフル・ネームで著書『Black Box(ブラックボックス)』を文藝春秋より上梓したという。
インタヴュー記事の前書きの部分から;


 私が伊藤詩織さんに初めて会ったのは、今年の2月初旬のことだ。彼女はある海外メディアの記者と2人で、日本で取材を行っていた。

「性被害は、被害に遭った人が話さないとなかったことになってしまう。話したくない人に無理をさせることはできないけれど、話せる人は話すことがとても重要」

 記者と詩織さん、私の3人でそんな話をしていたときだったと思う。詩織さんが少し黙ったあと、自分の身に起こったことを、記者と私の両方にわかるよう、英語と日本語で話し始めた。

 性暴力の取材をしていると、「誰にも言ったことがないけれど、実は私も」と告白されることがしばしばある。だから私は彼女がそのときに初めてそれを話しているのかと思ったが、よく聞いてみると、それまでの約2年間この問題のおかしさを訴え続け、メディアにもすでに話をしていたことがわかった。

 その後、5月10日発売の「週刊新潮」が事件を報じ、5月29日には詩織さん自身が司法記者クラブで記者会見を行った。会見は、準強姦容疑で書類送検された男性が不起訴となったことを検察審査会に異議申し立てするものだった。しかし、この申し立ては実らず、9月22日に「不起訴相当」の判断が出たことが報道された。9月29日のイベントで詩織さんは民事訴訟を起こすことを明らかにしている。

 そして先週末、文藝春秋から『Black Box(ブラックボックス)』というノンフィクションが発売されることが発表され、今週から書店に並ぶ。事件について、ジャーナリストである詩織さん自身が取材と調査を行った一冊だ。これまで家族の意向から伏せてきた名字を、この本では明らかにしている。彼女はどんな思いでこれを綴ったのだろう? インタビューを申し込んだ。

何故今本を出したか;

――出版の話はいつからあったのですか?


詩織:記者会見の後に話をもらいました。本はいずれ書きたいと思っていたけれど、ゆっくりプロセスを踏んでと思っていたので、まさか今書くとは思っていませんでした。躊躇していたら編集者の方が、「詩織さんは今このトピックについて扉を開けたから、今なら人が聞いてくれる。伝えたいことを言うのは今が一番効果的」と言ってくださった。本当はもう自分の仕事に戻りたいとも思っていました。書かれる方ではなくて発信する方に戻りたいと。でもそう考えたら、これも自分の仕事の一部かなと。

ところで、「準強姦容疑で書類送検された男性」だが、メディアではもうその名前が出ることはない。自らの身の潔白が証明されたと思っているなら、何故堂々と名前を出さないのだろうか。また、〈無罪〉という肩書にすればいい。
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竹下隆一郎、笹川かおり*3「「私は、被害者Aではない。伊藤詩織です」元TBS記者のレイプ疑惑を顔出しで公表した理由」http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/16/black-box-shiori-ito_a_23244676/