犬養道子 - Living, Loving, Thinking, Again

NHKの報道；

評論家の犬養道子さん死去
7月24日 18時33分

昭和７年の五・一五事件で暗殺された犬養毅・元総理大臣の孫で、難民の支援活動に取り組んできた評論家の犬養道子さん*1が２４日、老衰のため亡くなりました。９６歳でした。
犬養さんは、昭和７年の五・一五事件で青年将校らに殺害された犬養毅・元総理大臣の孫で、昭和２３年にアメリカに渡り、１０年間、欧米各国に滞在した経験を綴った「お嬢さん放浪記」で文壇にデビューしました。
その後、昭和５８年に「人間の大地」を、平成元年に「渇く大地」を発表して、飢餓や紛争が生み出す難民の実態やいわゆる南北問題を広く人々に問いかけました。
犬養さんは評論活動を行ったり、大学で指導を行ったりするかたわら、みずから南北問題の解決に貢献しようと「犬養道子基金」*2を創設し、アジアやアフリカなどの難民に教育の機会を与えるための奨学金を設けるなど、精力的に活動を続けていました。
関係者によりますと犬養さんは２４日午前５時２８分、老衰のため、神奈川県内の福祉施設で亡くなりました。９６歳でした。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170724/k10011072301000.html

人間の大地 (中公文庫)

作者: 犬養道子
出版社/メーカー: 中央公論社
発売日: 1992/09
メディア: ペーパーバック
この商品を含むブログを見る

「犬養毅・元総理大臣の孫」。やはり父親の犬養健、父がテロられたために小説家を止めて政治家に転身した人の存在感は小さくなっているのだった。因みに、安藤和津は異母妹。また、犬養智子という方がいたのだが、彼女は義理の妹、つまり弟で共同通信社社長を務めた犬養康彦の元妻。康彦は2015年に、智子は2016年に他界していたのだった*3。
初期の欧米通としての作品についてはあまりよく知らない。一般論的なことを言えば、欧米文化・社会を直接的な経験として熟知している上流階級のお嬢様というのが、それ自体として付加価値だったということはあるのだと思う。また、カトリックの思想家或いは聖書研究家という側面。また、「難民」や「飢餓」を問いかけるジャーナリストという側面。J-CASTニュースの記事に曰く、

両親ともに飛びぬけた名門の出身。敬虔なクリスチャンでもあり、得意の語学力を生かし、社会の模範となるように振る舞うことを自らに義務付けたかのような国際的活動ぶりで際立った。
（「難民救済に尽力　作家の犬養道子さん死去、96歳」https://www.j-cast.com/2017/07/24303991.html ）

記憶にある著作を挙げてみると、『飢餓と難民』、『和解への人教皇ヨハネ二十三世小伝』、『ヨーロッパの心』など。