Counterstatements

承前*1

城西大学の騒動を巡る2つの声明。水田宗子さんを支持するもの。


【署名のお願い】私たちの水田先生を返してください!!城西国際大学大学院水田ゼミ一同からの緊急メッセージ

2017.04.30 Sun


私たちの水田先生を返してください!!
私たちは、城西国際大学大学院の学生です。同大学院人文科学研究科で水田宗子先生の比較ジェンダー論の研究指導を受けており、皆本年度中の論文提出を予定しています。

ところが、本年の新学期開始以降の4月3日、突然水田先生は大学からの一方的な通知によって、本年度の授業を開講できなくなり、私たちの論文指導を行うことができなくなってしまいました。
しかし、城西国際大学は、この件を私たちにすぐに知らせることもなく、論文完成間近に指導教員を失うという私たちの緊急事態に対して、個別具体的なサポートを提示することもなく、指導教員の変更を示唆した上で、現在に至るまでただ漠然とした支援を表明するだけです。事実上、私たちは指導中止の状態で放置されたままです。

一方、私たちは、博士論文の指導は高度な専門性に基づくものであり、水田先生の専門性を頼って指導をうけている私たちにとって、先生以外の指導教員は考えられないこと、突然の指導教員の変更は、論文の完成を妨げ、論文の価値を著しく損なうこと、論文完成間近の指導教員の変更はありえないことを訴え、何度も水田先生の指導継続を訴えました。しかし、これについて大学側は一貫して拒否しています。

水田先生は、比較ジェンダー論、女性学、フェミニズム批評をリードしてきました。私たちは皆、その学問的な業績を頼って遠路はるばる水田先生の指導を仰ぎに来たもの、積年の研究課題を抱え、指導教員を捜しまわったあげく、先生に出会ってやっと論文作成に着手できたものなど、水田先生の教員としての高い知識や経験、技能、指導力を頼りにしてきたものばかりです。

こんな私たちに対して、先生は熱心に指導してくださいました。その熱意溢れる指導の下、私たちは長年にわたって論文完成への試行錯誤を続けてきました。そこには長年の信頼関係があります。そして、私たちもそれぞれ、激務の職業との両立で、睡眠時間を削って研究に打ち込んだもの、家族の介護等の心身に堪える状況下で、体調不良を乗り越えてきたもの、これまでのキャリアを断念して論文に打ち込んでいるものなど、苦難を乗り越えながら自分たちの論文に賭け、完成へと邁進してきました。この結果、私たちは本年度に論文の提出を計画できるところまでこぎつけました。

ところが、今回の大学側の突然で一方的な決定と、その後の大学側の水田先生の指導継続拒否及び私たちの放置によって、私たちの論文提出計画は壊滅的な打撃をうけることになってしまいました。本年6月に論文の提出が行えないと、現職に深刻な影響がでるものもおり、私たちの研究者生命は危機に瀕しています。現在も城西国際大学は私たちに対して誠意ある態度を見せていません。もう私たちにはあまり時間がありません。この段階で指導教員をわたしたちからとりあげるのは、ネグレクトという名のアカデミックハラスメントと言わざるをえず、大学側に強く抗議したいと思います。

ぜひWANの皆さまにこの私たちの苦境を知っていただき、ご支援を賜りたく、ここにお願い申し上げます。ご賛同くださる方は以下のサイトの署名にご協力ください。よろしくお願いいたします。

  水田ゼミ院生一同 https://www.change.org/p/pemot2011-gmail-com-%E6%B0%B4%E7%94%B0%E5%85%88%E7%94%9F%E3%82%92%E7%A7%81%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AB%E5%B8%B0%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84?recruiter=715125026&utm_source=share_for_starters&utm_medium=copyLink
https://wan.or.jp/article/show/7224


【緊急声明】水田理事長の追放と城西大学の混乱を憂慮する

2017.05.08 Mon


水田理事長の追放と城西大学の混乱を憂慮する                          2017年5月8日 
                                                                  
わたしたちの信頼し、尊敬する友人である城西大学理事長の水田宗子理事長が、理事会で突然の解任を求められ、理事長職を追われたことを知り、心を痛めてきました。理事長追い落としの張本人であり、直ちに理事長代理の職に就いた小野元之氏側からの一方的な情報にもとづいて、水田理事長に不正経理の疑いがあるとマスメディアが報道しましたが、この件についての事実関係も確定したわけではありません。すでに報道以前に、水田さん側の弁護士から事実無根であるという名誉毀損訴訟が提訴されています。調査委員会も設置せず、本人の釈明も事実関係の確認もないままに、理事会が解任決議を行ったことも、手続き的に重大な問題があり、理事会決定無効の疑いがあります。この強引な決定を行った小野氏は、元文科省事務次官であり、退任後文科省外郭団体等の関係機関に勤務した後、2012年から理事として城西大学で禄を食んできた人物です。小野氏はさらに事務局長を解任し、その後任に後輩の元文部官僚、北村幸久氏を当てるなど、学内の要職を次々に手中に収めています。その過程で、水田理事長が兼務している城西国際大学大学院研究院長職を廃止するという形で実質的に解任し、今年度4月からの授業を一切禁止し、学生指導からはずすという暴挙に出ています。水田さんを慕って学位論文の完成に励んできた院生のみなさんからは、すでに「私たちの水田先生を返してください!!」という痛切な抗議の声明が寄せられています。
https://wan.or.jp/article/show/7224

水田さんは、日本における女性学・ジェンダー研究のパイオニアであり、フェミニズム文学批評を確立し、内外にわたって文学者・研究者の交流に尽力した功労者です。わたしたちの知る限り、水田さんは小野氏が指摘する解任の理由にあるような不正を行うひとではありませんし、ご本人もそれを否定しておられます。多年にわたる城西大学への貢献者である水田さんから見れば、このような仕方で理事長職を追われ、教育の場を取り上げられるのは、受け容れがたい不当な仕打ちと言うべきでしょう。一日も早く、真相を明らかにし、水田さんの汚名をすすぎ、学生の指導に戻っていただき、城西大学の混乱を収めてくださいますよう、お願い申し上げます。また長きにわたる水田さんとの友情から、ご依頼があればどんな支援にも応じる用意があることを申し添えます。

呼びかけ人(abc順)
Copeland, Rebecca(Professor, Washington University)
Cornyets, Nina (Associate Professor, New York University)
De Bary, Brett (Professor, Cornell University)
Goossen, Ted (Professor, York University, Toronto)
長谷川啓(文学研究者)
樋口恵子(評論家)
Horiguchi, Noriko J. (Associate Professor, University of Tennessee)
伊藤比呂美(詩人)
柄谷行人(文芸評論家)
川村湊(文学研究者)
北野圭介(立命館大学教授)
小森陽一(文学研究者、東京大学教授)
小谷真理(SF&ファンタジー評論家)
黒澤亜里子(文学研究者、沖縄国際大教授)
Lamarre, Thomas (Professor, McGill University)
Levy, Indra (Associate Professor, Stanford University)
中川成美(文学研究者、立命館大学
尾形明子(文芸評論家)
Rothenberg, Jerome (Poet, Emeritas professor, University of California, San Diego)
Sakaki, Atsuko (Professor, University of Toronto)
白石かずこ(詩人)
Shirane, Haruo (Professor, Columbia University)
Suzuki, Tomi (Professor, Columbia University)
巽孝之アメリカ文学者、慶應義塾大学教授)
多和田葉子(詩人、作家)
上野千鶴子社会学者、東京大学名誉教授)
鵜飼哲(哲学者、一橋大学教授)
https://wan.or.jp/article/show/7237