話し言葉/書き言葉

承前*1

文部科学省科学技術・学術政策局人材政策課研究公正推進室「金沢星稜大学教員の研究活動上における不正行為(盗用)について」http://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/fusei/1384321.htm


金沢星稜大学経済学部の方斌元准教授の「盗用」問題について。
その発端;


本件は、金沢星稜大学の教員昇格審査の過程において、候補者の一人、同大学経済学部准教授(当時)(以下「元准教授」という。)から提出された書籍・論文の中で、元准教授が分担執筆した書籍の日本文が元准教授の日常会話に比べ、こなれ過ぎていないかという指摘が昇格審査に当たった審査委員からあったことを受け、同大学で精査したところ、盗用と疑われる箇所が複数発見されたため、金沢星稜大学及び金沢星稜大学女子短期大学部研究倫理員会による予備調査と学校法人稲置学園不正防止委員会による本調査において、盗用の疑いがある書籍・論文と引用されたとするウェブサイト、論文を照合し事実関係を確認するとともに、元准教授及び関係者への聞き取り調査を行ったものである。更に本調査の過程において、当初の事案以外にも、元准教授による盗用を疑う論文が確認されたため、これについて追加調査を行った。
 調査の結果、元准教授が同大学在任中に執筆した書籍1編と論文3報において、研究活動における不正行為である「盗用」が行われたものと認定した。
まあ結果として「盗用」が発覚してしまったわけだけど、「日常会話」という話し言葉とアカデミックな書き言葉を比較するってどうよと思った。英語で買い物も怪しいというのに、英語の論文を量産している学者もいるかも知れない。話し言葉・書き言葉を問わず、外国人(非ネイティヴ)の日本語表現には(ネイティヴにとっては)不自然な助詞(てにをは)の使い方が多々見られるということはいえるだろう。また、中国人特有の問題としては、能動態と受動態の混同。このような日本語の文は売り物にならないので、日本語のネイティヴ・スピーカーが書き直しを指示したり、編集者(編者)が職権によって(ネイティヴにとって)自然な日本語に書き直してしまうというのは或る意味で当然のことだろう。この告発のロジックを徹底してしまうと、書き直しに関与した人たちを共著者として明記しなければ、「不正」と認定されてしまう可能性もあるということなのだろうか。