『日経』の記事;
「研究時間を確保できるよう、各大学に(sic.)工夫してほしい」というのは他人事みたいなコメント。この「減少」は1990年代以降の高等教育改革の成果なのかも知れないという視点はないのだろうか。
大学教員の研究時間減少続く 13年、勤務全体の35%
文科省調べ、授業など負担増2015/4/7 21:51
大学教員が研究に充てる時間が減り続けていることが7日、文部科学省の科学技術・学術政策研究所の調査で分かった。2013年の勤務時間に占める研究活動の割合は35.0%で、08年の前回調査から1.5ポイント低下し、02年の初回調査に比べると10ポイント以上減った。学生の教育に充てる時間の増加が背景で、同省は「研究時間を確保できるよう、各大学に工夫してほしい」としている。画像の拡大
調査は3回目で、全国の国公私立大の教授や准教授ら教員計5652人が対象。02年調査では、論文作成や情報収集などを行う研究活動の時間は、勤務時間の46.5%を占めていた。
講義やゼミ、その準備といった教育活動は、13年で28.4%。08年調査より1.1ポイント上昇した。学生が議論などを通じて課題を解決するアクティブ・ラーニングや、高校までの学習内容を復習させる初年次教育が広がり、そのための準備時間が増えたことなどが要因とみられる。
専門分野別にみると、医学や歯学など「保健」の教員の研究活動は31.9%と特に低く、08年より6.9ポイント減った。診療など「社会サービス活動」が同8.6ポイント増の24.2%となったことが影響した。私立大の教員の研究時間は29.9%で、42.5%の国立大との開きが目立った。
「研究時間増加に有効だと考える手段は」との問いに、全体の6割以上が「大学運営業務や学内事務手続きの効率化」と答えた。
都内の私立大に勤務する50代の文系の男性教授は「初年次教育や、留年した学生との面接などの負担が年々重くなり、研究時間が十分に確保できない」と話す。特に新入生向けの論文の書き方指導では、自前のテキスト作成などに時間を割かれるという。
国内では、引用数が世界の上位10%に入る影響力の高い論文の世界シェアが00年ごろから低下し続けており、研究不正も後を絶たない。同研究所の担当者は「研究時間を確保する工夫を各大学が行い、質の高い論文を多く生み出せる環境を整えてほしい」と話している。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG07H80_X00C15A4CR8000/
これと関係して、昨年10月に発表されたTimes Higher Educationによる世界大学ランキング*1の話;
木村正人*2
「世界大学ランキング(1)東大23位死守も、日本は大幅後退」http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20141002-00039595/
「世界大学ランキング(2)「オカネを出さずにランクだけ上げるのは難しい」元三重大学学長*3」http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20141002-00039598/
*1:http://www.timeshighereducation.co.uk/world-university-rankings/ Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091010/1255147141 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140811/1407731106
*2:http://blog.livedoor.jp/tsubuyaitaro_2014/ See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130304/1362367180 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150107/1420655628 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150121/1421806662 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150126/1422285764 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150203/1422976315 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150218/1424283180 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150301/1425229414
*3:豊田長康