『朝日新聞』の記事;
これだとあまりに情報量が少なすぎるので、Wikipediaを写しておく;
仏文学者・饗庭孝男さん死去 87歳、青学大名誉教授2017年2月28日13時22分
饗庭孝男さん(あえば・たかお=文芸評論家、青山学院大名誉教授・仏文学)が2月21日、肺炎で死去、87歳。葬儀は近親者で営まれた。
日本や西欧の文化や芸術、思想などを幅広く研究、多数の著書がある。主な著書に「石と光の思想」「幻想の都市」など。
http://www.asahi.com/articles/ASK2X42K9K2XUCFI003.html
こちらの方も本職たる仏蘭西文学についての言及がない。『ユリイカ』1990年1月号に載った「フランス文学大アンケート」への饗庭氏の回答を自らのblogに写している方がいたので、孫引きさせていただく*1;
滋賀県大津市生まれ。父は滋賀県視学。愛知県名古屋市を経て、饗庭村に移り、1949年滋賀県立高島高等学校卒、1953年南山大学人文学部卒業、南山大学文学部助手。1959年青山学院大学文学部専任講師。同助教授、教授、1984年定年退任、名誉教授、甲南女子大学文学部教授、95年退職。1967年フランス政府招聘教授としてパリ大学と国立高等研究院に。1966年に『戦後文学論』を発表し評論家としての地位を確立する。この作品中の「反日常性の文学」において近代文学派の「政治と文学」を批判し、戦後文学の存在意義について説いた。
2004年に文芸雑誌「新潮」に発表した『故郷の廃家』で第30回滋賀県文化賞を受賞。滋賀県高島市の文化を自身と饗庭家の歴史と重ね合わせ描いた作品である。
「NHKフランス語講座」「フランス散策」や日本経済新聞の「名詩の風韻」などに連載を持っている。また、「朝日カルチャーセンター」でヨーロッパの文化・芸術についての講義もおこなっている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A5%97%E5%BA%AD%E5%AD%9D%E7%94%B7
3つの設問(1) 戦後のフランスの文学作品の中で特に印象深い作品を三作内あげてください。
(2) いま省みて、ヌーボー・ロマンと呼ばれた作品群についてどうお考えでしょうか。
(3) 今後紹介されるべき作品がありましたら、お聞かせください。
回答者
饗庭孝男 (1930〜)(文芸評論家)
(1) a『シルトの岸辺』ジュリアン・グラック*2。その言語の緻密さとイメージを喚起させ、文学空間の特異さを否応なしにつくりあげてしまう反時代的な思考と表現のために。
b『荒れた海辺』ジャン・ルネ=ユグナン。<自然>と内部の分かちがたい照応を近親相姦の暗示にとんだテーマのなかに成立させている。「深さ」の小説と言ってよい。
c『心変り』ミシェル・ビュトール。ありふれた主題を「古代」と「現在」、「夢」と「現実」を往還し卓越した新しい技法でよみがえらせ、距離なくして成り立ちえない「夢」を描いた。
(2) 結局、個々の作家の力量によるものであり、技法や主張によるのではない。いいものは残るのである。『嫉妬』(ロブ=グリエ)、前掲『心変り』(ビュトール)、『モデラート・カンタービレ』(デュラス)
(3) パトリック・グランヴィル、マルク・ショロデンコ、エミール・アジャールらの作品。
http://ameblo.jp/text-namura/entry-12086493281.html
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「フランス文学から文化論への道すじ」http://www.nanzan.ac.jp/DOSOKAI/old/closeup029/close029.html
*1:原文では丸囲み数字だが、文字化けを懼れて括弧で囲むよう改竄した。
*2:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080104/1199411561