三代目の話

「負債11億…神田神保町の老舗「芳賀書店」の社長に21歳で就任した三代目。まず始めたことは身内を切ること」http://news.livedoor.com/article/detail/12553198/


SPA!』の記事。
芳賀書店」というと、たんに「神田神保町の老舗」というだけではなく、私たちの世代にとっては、何といっても「ビニ本」の「芳賀書店」である*1。その三代目社長の芳賀英紀氏の話。21世紀の初頭に氏が会社を継いだ時には「融資負債7億円、親族の個人貸し付けで4億円、合計11億円もの負債があった」という。その原因は「先代社長も含めた親族及び役員による会社の私物化」だったということだけど、それとともに〈ビニ本ブーム〉の終焉ということもあるのでは? 年齢から逆算して、英紀社長の子ども時代は1980年代後半で、「ビニ本」の「芳賀書店」の最盛期だったわけだ。それが日本経済全体のバブルとも相俟って「一日あたり100万円以上を使っ」た豪華な「家族3人のイタリア旅行」を可能にしたということなのでは? たんなる倹約とか切り詰めでは赤字や負債を減らすことはできても「黒字」を出すことはできないだろう。ましてや、久しく以前から出版不況と言われている。大手書店チェーンの芳林堂も昨年命運尽きた*2。また、芳賀書店の近所でもある岩波ブックセンターも破産*3。これらは、長いゆっくりとした或るプロセスの帰結であろう。また、エロ本にしても、その現状及び見通しは一般書籍以上に暗いと言えるだろう*4。そういう中で、どのような戦術・戦略を用いて黒字に転嫁し・黒字を維持しているのか。残念ながら、記事はそこら辺には言及していないのだった。