想念から解放されるには

承前*1

朝日新聞』の記事;


タリウム事件の元少女「人殺す夢で絶望感」 名古屋地裁

2017年1月19日13時16分


 名古屋市内のアパートで2014年に女性(当時77)を殺害したほか、12年には同級生2人に「硫酸タリウム」入りの飲料水を飲ませたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われている元少女(21)の裁判員裁判が19日、名古屋地裁であり、殺人事件の審理が行われた。被告人質問で元少女は「人を殺さない自分になりたいと思うようになった」と今の心境を述べた。

 元少女は精神鑑定の期間中に投薬治療を始めたといい、「気分の波が穏やかになった」と供述。一方で「人を殺したいという考えが浮かぶが、頻度は減った」「人を殺さない自分になりたいのに、人を殺す夢を見ると絶望感を覚える」と述べた。

 元少女は19歳の名古屋大学1年生だった14年12月、自宅アパートで森外茂子(ともこ)さんを殺害したとされる。この日の公判で、動機について「人が死ぬところを見たかった」と供述。殺害後に「遺体の断面を見たい」とノコギリを購入していたことも明らかにした。

 元少女は高校2年生だった12年5〜7月、タリウム入り飲料水を同級生2人に飲ませたとして殺人未遂罪などでも起訴された。弁護側はそれぞれの行為は認める一方、元少女の精神面に重い障害があるとして「責任能力はなく無罪」と訴えている。
http://www.asahi.com/articles/ASK1M3VH3K1MOIPE00S.html

多分このままではタリウム娘が「人を殺したいという考え」から解放されることはないだろう。死刑判決が下って死刑が執行されれば別だろうけど。弁護側によれば、彼女は発達障害だそうだけど、発達障害だから「人を殺したい」と思うわけはない。「人を殺したい」という想念に憑りつかれたのは、彼女が生誕してから現在に至るまでのライフ・ヒストリーの何処かの時点にきっかけがあった筈だったので、彼女が「人を殺したいという考え」から解放されるためにすべきことは、自らの記憶の襞に分け入って、そのきっかけを突き止めること、何故自分が「人を殺したい」と思うようになったのかを知的に理解することだろう。精神医療も弁護士も、そのような解放から彼女を遠ざけているようにしか思えない。