鯛ではなく鮪

朝日新聞』の記事;


巨大マグロに、さい銭ペタリ 兵庫・西宮神社で奉納

2017年1月8日17時07分

 商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社、西宮神社兵庫県西宮市)で8日、体長2・3メートル、重さ230キロの巨大な本マグロが奉納された。

 「十日えびす」(9〜11日)を前にした恒例行事。さい銭をはり付けると「お金が身につく」とされ、参拝客は頭や背中に硬貨をはり、手を合わせた。

 ただ、今年のマグロの大きさは、例年より一回り小さく、さい銭をはれる場所はやや狭め。神職は「願いがかなう人が減らないことを祈っております」。
http://www.asahi.com/articles/ASK184J5NK18PIHB00H.html

本文では言及されていないが、写真では「奉納」者がうっすらわかる。Wikipediaによれば、「奉納」しているのは「神戸市東部卸売市場(神戸市東部水産物卸売協同組合、大水、神港魚類)」。1970年に始まったことであるという*1。鯛ではなく鮪。恵比寿様が闇金融に引っ掛かって、借金返せないなら腎臓を差し出すかマグロ漁船に乗るか、どちらかを選べ! と脅されるというストーリーを考えてしまった。
東京でエビスというと、思い出すのは麦酒の名前の由来ともなったあの小さな神社だが*2、関西ではエビス、「えべっさん」というと、この「西宮神社*3のほかに、大阪市浪速区の「今宮戎神社*4があるのだった。
ところで、長崎県壱岐では水死体を「エビス」として祀る習俗がある(See 波平恵美子「水死体をエビス神として祀る信仰 ──その意味と解釈」『民族学研究』42、1976)*5。鮪の代わりに土左衛門をどんと「奉納」したらどうなるのかな、と罰当たりな想像もしてみた。