I'd really told them, she said.

承前*1

『日刊スポーツ』が掲載した共同通信の記事;


「殺されるかもと伝えた」冨田真由さん警察に不信感
[2016年12月16日23時41分]

 ファンの男に刺され一時重体になった私立大生冨田真由さん(21)の代理人弁護士は16日、事件前に相談した警視庁武蔵野署の対応について「『殺されるかもしれない』と伝えたのに、事実を警察が認めないことに、怒りを通り越して、悲しみを感じています」とつづった手記を公開した。

 捜査関係者によると、武蔵野署の担当者への聞き取りでは、そうした文言は確認できなかったという。

 手記では「『殺されるかもしれない』という言葉を、私は絶対に伝えました」と強調し「女性の警察官がほとんどメモを取らずに話を聞いていた。私の相談を軽い気持ちで聞いていたのだと思います」と批判。事件後に警視庁の担当者から「『殺されるかもしれないという言葉を言っていないのではないか』と何度も聞かれました」と不信感をにじませた。

 さらに「事件に遭った日から時間が止まってしまったかのように、前に進むことが怖くなってしまいました」と明かし「警察がこの事件のことを本当に反省してくれていないと、また同じことが繰り返されるのではないかと心配です」と記した。

 代理人によると、冨田さんは顔や首に傷が残り、左目の視野が狭くなるなどの後遺症もある。男性が近くにいると恐怖心を覚え、付き添いがいないと公共交通機関を利用できないという。(共同)
http://www.nikkansports.com/general/news/1752865.html

「手記」は


冨田真由さん「怒りを通り越して悲しみ」/手記全文」http://www.nikkansports.com/general/news/1752868.html


「 男性が近くにいると恐怖心を覚え、付き添いがいないと公共交通機関を利用できないと」というのは、読んでいるだけで心が痛む。PTSD侮るべからず。
NHKの報道によると、この手記はそもそもNHKに寄せられたものだという*2。そのNHKの報道に対するブクマ・コメントに「ブロックは警察の指示でやったのか。ああいう局面では逆上しかねないから普通はやらないのでは?」というのがあった*3。だとすると、警察の作戦ミスということになる。ところで、警察は犯人の岩埼友宏に接触したり警告したりということはしていなかったのでは? (特定のイデオロギーがチャージされていないという意味での)一般人ならば、警察が自宅に来たら、びびっておとなしくなるのでは? ただ、冨田さんが失望しているのは、戦術的なミスとかではなく、自分の訴えを誠実に聞いてくれなかったということなのだった。
これに関連して、Washburn氏の「門前払いの力学」というエントリーで、


清水潔の『桶川ストーカー殺人事件―遺言―』を読んだときは、職業人としてあまりに不自然な上尾署の怠慢捜査に、県警は犯人に買収されていたのではないかと疑いを持ちましたが、その後の複数の事件を見るに、どうやら警察という組織には、ストーカーにはなるべく協力して、できれば危害行為にまでエスカレートさせたい、という黒いリビドーが存在しているとしか思えなくなりました。
と述べている*4。これは警察の公安化ということでしょうか。刑事警察のロジックだと犯罪の芽はまだ軽罪のうちに摘み取らなければならないということになる。しかし、政治警察(公安)の場合だとそうとは限らない。実刑にも持ち込めないような微罪は見逃して、(テロのような)重罪を犯すのを待つこともありうる。時には、煽ったり・追い込んだりもして。政治警察(公安)*5の場合、重要なのは個人の生命や財産ではなく〈体制〉だからだ。

個人に対し「殺してやる」と書いても逮捕されないけど、「当職は市役所に114514個の爆弾を仕掛けたナリ。3時34分に爆破しますを」などと悪ふざけで書き込んだ人間はすぐ逮捕される。つまり、警察としては人の命が危険にさらされることより、国家権力がおちょくられることのほうがはるかに重大だととらえているってわけです。ま、世の中ってのはそういうもんです。