“I saw ten thousand talkers whose tongues were all broken”

承前*1

『スポーツ報知』の記事;


本家授賞式欠席も、物まね、東京ボブ・ディランは鏡割り“出席”
2016年12月12日6時0分 スポーツ報知

 スウェーデンストックホルムで10日夜(日本時間11日未明)に行われたノーベル賞授賞式後に晩さん会が開かれ、文学賞を受賞した米シンガー・ソングライターボブ・ディラン(75)は授賞式を欠席、スピーチが代読された。

 ディランの物まねで知られるタレントの東京ボブ・ディラン(年齢非公表)*2が11日、都内のレコード店文学賞を祝って鏡開きを行った。

 「祝」と書かれた樽(たる)に、勢いよく木づちを振り下ろし「コングラチュレーション、ボブ!」と祝福。受賞が大々的に取り上げられ、楽曲が何度もニュースなどで流れたことから「これをきっかけに、これまでディランを知らなかった人が興味を持ってくれるのが、自分にとっては一番うれしい」と話した。7日には、受賞を記念したディランの2枚組みベストアルバム「THE VERY BEST OF BOB DYLAN」が発売された。
http://www.hochi.co.jp/topics/20161211-OHT1T50296.html

よく似ている。しかし、forever young.
今度も『スポーツ報知』の記事;

75歳・高石ともやホノルルマラソン」40回連続で完走
2016年12月13日6時0分 スポーツ報知


 代表曲「受験生ブルース」(1968年)で知られるフォークシンガーの高石ともや(75)が11日(日本時間12日)、米ハワイ州ホノルルで行われた「JALホノルルマラソン」に出場し、40回連続で完走した。同い年で、同じフォーク歌手として敬愛する米シンガー・ソングライターボブ・ディラン(75)のノーベル文学賞受賞から一夜明けての快挙となった。

 トロンボーンを持ってゴールした高石は、祝福する参加者や地元主催者に向け「これで終わりというわけにはいかないな」と笑顔。途中、歩きながらの演奏や他の参加者と合唱したりしながら、8時間23分で完走した。30代で始めたマラソン。今後は体力の衰えとの闘いになるが「心を上手にコントロールすれば体はついてくる」と意欲十分だ。

 66年、ディランの歌を日本語に訳して歌う反体制フォークシンガーとしてデビュー。「受験生ブルース」は、ディランの「ノース・カントリー・ブルース」のメロディーに、受験生の悲哀を投影した詞をつけた他人の曲を作曲し直したものだ。

 今もライブではディランの歌を歌い、22日の「年忘れコンサート」でもディランの歌を披露するという。
http://www.hochi.co.jp/topics/20161213-OHT1T50018.html

記事には「高石ともやボブ・ディラン比較表」がついている。高石ともやが12月でボブ・ディランは5月生まれなので、米国の教育制度でいけば高石は1学年上、日本の教育制度でいけば同学年ということになるか。さて、「「受験生ブルース」*3は、ディランの「ノース・カントリー・ブルース」のメロディーに、受験生の悲哀を投影した詞をつけた他人の曲を作曲し直したものだ」という説明はちょっとわかりにくい。片桐ユズル「替歌こそ本質なのだ」*4を参照しつつ語り直してみる。先ず中川五郎がディランの「ノース・カントリー・ブルース」の替え歌として作詞して自分で歌っていた。ディランの曲はマイナーで暗いということで、高石ともやが新たにC調で作曲して自ら歌い、ヒット曲になったのが所謂「受験生ブルース」。高石ともやが歌うようになって、歌詞も微妙に変化しているようだ。例えば、主語が「おいら」から「ぼく」になっているとか。「受験生ブルース」の替え歌として有名なのが「機動隊ブルース」。しかし、これは無数に作られた〈何とかブルース〉のひとつにすぎない。また、「受験生ブルース」の出だしの「おいでみなさん聞いとくれ」はディランのオリジナルでは”Come gather ’round friends/And I’ll tell you a tale”だが、これは米国民謡における出だしの決まり文句。なお、高石ともやには「主婦のブルース」*5という曲もあるけど、やはり中川五郎作詞ではあるものの、これは「受験生ブルース」の替え歌ではなく、元ネタは別。
さて、ノーベル賞授賞式晩餐会でのパティ・スミス姐さんのパフォーマンスについて;


Dan Colman “Patti Smith Sings Bob Dylan’s “A Hard Rains Gonna Fall” at Nobel Prize Ceremony & Gets a Case of the Nerves” http://www.openculture.com/2016/12/patti-smith-sings-bob-dylans-a-hard-rains-gonna-fall-at-nobel-prize-ceremony-gets-a-case-of-the-nerves.html
Amanda Petrusich “A Transcendent Patti Smith Accepts Bob Dylan’s Nobel Prize” http://www.newyorker.com/culture/cultural-comment/a-transcendent-patti-smith-accepts-bob-dylans-nobel-prize
Maddie Crum “Bob Dylan Honored At Nobel Prize Banquet Despite Absence” http://www.huffingtonpost.com/entry/bob-dylan-nobel-speech_us_584b23aee4b0e05aded40c35


『ハフィントン・ポスト』の記事によると、”A Hard Rain's A-Gonna Fall”*6の中でパティ・スミス姐さんが特に強調していたのは“I saw ten thousand talkers whose tongues were all broken”という部分。”A Hard Rain's A-Gonna Fall”という曲の成り立ちについては、マーティン・スコセッシの映画No Direction Home*7を。アレン・ギンズバーグのコメントなどを含む。

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