飯村和彦「「3回以上」読んだ本、何冊ありますか? 読み返すたびに浮かぶ違った景色」http://www.huffingtonpost.jp/kazuhiko-iimura/reading-a-book_b_12095352.html
曰く、
本を読んでいて何が面白いかといえば、そこに書かれている内容もさることながら、物語とは直接関係のない事象が奔放に頭に湧いてくる現象だ。同じ本でもそのときに自分の置かれている状況や社会情勢が違えば、喚起される考えやイメージも違ってくる。これは二度目、三度目のときの方がより顕著だ。たぶん一度目のときは物語そのものの内容や流れをつかむのに忙しいからだろう。それが二度目、三度目ともなるとこちらに余裕があるから、そのぶん心置きなく自由に連想を楽しめる。だから自分の場合は、二度目、三度目の方が一冊の本を読み終えるのに断然時間がかかる。先を急ぐ必要がないからね。
きっと本を読むときの自分の思考が、3+7=□ではなく、□+□=10 の設問的なものに変わっているからだろうと個人的には思っている。
とはいうものの、これまでに三回以上読んだ本が何冊あるかと考えると、実はそう多くない。仕事、またはその関連で何度も読み返す本はあるが、この場合は自由連想なんてしてる暇はないし、どちらかといえば必要に迫られて読むわけだから、たとえ楽しくてもその質は異なる。
さて、若松英輔『井筒俊彦 叡智の哲学』*1から。
『ロシア的人間』*2に触れて、
文学を読むとは情報を得ることではない。読者は作者と共に歩き、迷い、ついに作者すら知らない根本問題に遭遇し、ついにはその道を独り進むことである。このとき、作者はダンテに随伴したウェルギリウスのように導者となる。しかし、ものを見、天界の長に何かを託されるのはダンテなのである。作者が経験した「ヴィジョン」を読者もまた目撃し、そこに参与すること、『ロシア的人間』の魅力と今日的意義もそこにある。井筒が論じたのは、現象としての「ロシア」ではない。時代を貫く「永遠のロシア」である。(p.100)
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