「産むか産まないかを選ぶ自由を奪うのは誤りだ」

田中陽子「産む産まないの自由を奪うな 強制不妊問題と向き合う」https://www.huffingtonpost.jp/2018/07/14/forced-infertility_a_23482166/


優生保護法下の強制不妊手術*1に対する国の謝罪と賠償を求める動きを巡って。


「当時は合法」との立場に終始していた国は今年3月、ようやく調査を決めた。だが、すでに記録の多くが破棄されている。原告のなかにも、記録がなく、手術の証拠を示すため、医師の協力で手術痕の診断書を得て訴訟を起こした人もいる。朝日新聞の調査では、強制不妊手術の被害者のうち個人の特定できる資料が残っているのは約3割だ。

被害者のなかには、事実上拒めない状況で「同意」して手術された人もいる。国はこうした実態も幅広く調査し、救済の道を探るべきではないか。声を上げた被害者の多くが、「同じようなことを二度と繰り返さないでほしい」と話す。一昨年7月に相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件の被告*2が優生思想を抱いていたように、差別や偏見はいまも社会に潜む。

 「障害者は子どもを産まないものといった思い込みはいまも人々に刷り込まれている」と話すのは、DPI女性障害者ネットワーク代表で視覚障害のある藤原久美子さん(54)。妊娠した際、治療の影響で障害のある子が生まれるかもしれない、育てられるのか、と医師らに中絶を勧められた。藤原さんは、強制不妊手術の被害者に国が謝罪することは、産むか産まないかを選ぶ自由を奪うのは誤りだ、と人々に広く知らせる意義がある、と考える。「過去の問題でも、障害者だけの問題でもない」と話す。