「杏花村」は何処?

「晋皖鄂三地争奪”杏花村”原址」『東方早報』2016年4月5日


杜牧の「清明」詩*1


清明時節雨紛紛 
路上行人欲斷魂
借問酒家何處有
牧童遙指杏花村
この「杏花村」は何処か。現在、山西省汾陽市*2郊外の「杏花村」、安徽省池州市*3「杏花村」、湖北省麻城市*4「歧亭鎮 杏花村」が争っている。汾陽市では、1957年に「山西杏花村汾酒廠股份有限公司」(現在の「山西杏花村汾酒集団」)が「杏花村」を酒類部門における商標登録している。 安徽省池州市では、2000年に「安徽省黄公酒罏文化娯楽有限公司」(現在の「安徽省杏花村旅游公司」)が「杏花村」の「旅游服務」部門での商標登録を申請したところ、「杏花村汾酒集団」が異議を申し立て、その争いは2010年まで続くこととなった(最終的には、汾陽市の主張は退けられた)。最も新しく参戦したのが湖北省麻城市。ここでは杜牧の詩をそのまま歌詞にした「麻城杏花村」という村歌を作り、湖北省のメディアは麻城市の杏花村こそ、杜牧の詩の中の「杏花村」であると主張している。
詩の中の「牧童」に指目すれば、やはり山西省だろうか。農耕文化と遊牧文化の境界ということで(See 王明珂『游牧者的抉択』*5)。


See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160406/1459870654