りすの返答

承前*1

『亜書』の「りすの書房」のコメント;


国立国会図書館の代償金返還に関する声明


 本日、国立国会図書館のホームページ上にて、旧りすの書房発行『亞書』に関する代償金の返還を求める旨が公示されたため、当社はこれを以て正式な請求があったことと見なし、当該代償金計百三十六万円の返金を決定致しました。

 本件について昨年十月以降、国会図書館と幾度にも渡る会談を行いましたが、図書館側が「頒布実態等の調査」と称する井戸端会議の内容はしかし、或いは当社のネーミング、或いは景気の理非曲直など、屁も出ないほど退屈な題目ばかりで、その滑稽な三文芝居には、はじめのうちこそ噴飯を禁じ得ず、酒の肴にもなりましたが、数を重ねるごとにいよいよつまらず、くそも出ず、おいお前、そこの偉いの、そろそろ本題に入ろうじゃんか、返還額を書面でくんな、と国会図書館収集書誌部国内資料課課長補佐に申し上げ、内容証明郵便を心待ちに、店の軒先でぶるぶるふるえておりました。しかし待てど待てども、いつになっても請求は来ず、倒産しました。以上が本件の経緯であります。

 旧りすの書房がすでに倒産しているためか、妙なことに、国会図書館側からはいまだ請求が届いておらず、二月二日は逢魔ヶどき、朝日の記者がうちに来て曰く、ホームページに返還請求の公示が出ておるぞ、ホームページぞ、請求ぞ、とまくし立てるので、見てみると、つまらぬ御託が書いてあり、苦笑しました。当社は国会図書館に対し、昨年度より再三に渡り請求書の発行を要求し、或いは報道機関なども、あの手この手で国会図書館にプレッシャーをかけ、時事通信に至っては、返還請求が既に発せられたなぞという誤報まで出して、関係各社が一丸となって返還請求実現のために奔走して来たにもかかわらず、この遅滞、このザマときて、こん畜生、俺は激怒した、韋駄天、案外うすっぺらい百三十六万円の束を握って国会図書館に走るも、南無三、コンクリートの箱物はすでに閉館しておりました。明日担当者に連絡をとり、返還手続きを行います。

 また懸案の『亞書』の適正価額に関しましては、業界慣例である再販制を尊重する見地から、これを断じて見直さない代わりに、大感謝セール、六○○円の叩き売り、月末恒例『亞書大売出し』を近く開催する予定です。カスタマーの皆様におかれましては、何卒ふるってご参加下さい。

平成二十八年二月二日

旧株式会社りすの書房
Cited in http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1602/03/news060.html

また(正確には「旧」がつく)「りすの書房」のサイトも参照のこと*2