『京都新聞』の記事;
かるた姫、美し手さばき 京都・八坂神社京都新聞 1月3日(日)23時22分配信
新春恒例の「かるた始め式」が3日、京都市東山区の八坂神社の能舞台で営まれた。平安装束に身を包んだ「かるた姫」と呼ばれる女性たちが、美しい手さばきで百人一首の手合わせを行った。
神社の祭神スサノオノミコトが和歌の神とされることから、百人一首の技能向上を願って日本かるた院本院(西京区)が毎年催している。
男性は狩衣(かりぎぬ)、女性は袿(うちき)という王朝時代の姿で臨んだ。幼児から小学生までの18人が2人一組となり、50枚の札を取り合った。参加者は、上の句が読まれると「はい」と威勢良い声を上げ、次々と札を手にした。
京都地方気象台によると、3日の最高気温は京都市で3月下旬並みの15・8度(平年9・5度)を観測した。能舞台前には参拝者約400人が集まり、春を思わせる日差しの中、みやびやかな遊びに見入った。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160103-00000016-kyt-cul
『読売新聞』の記事;
このトピックを採り上げたのは、「平安装束」という言葉が気になったから。というか、この言葉は私の語彙にはなかった。サンプルとして、地元紙と全国紙を1つずつ貼ってみたけど、他者の記事でも「平安装束」という言葉は用いられている。それで、調べたら、「平安装束」というWikipediaの項目*1まである! たんに私が無知だっただけね。しかし、Wikipediaでも何時頃から平安時代の公家社会で確立された男女の装束を「平安装束」と総称するようになったのかという経緯については言及がない。まあ、直垂のような武家に由来する装束や裃のような近世的な装束とは区別されるというわけか。
平安装束で百人一首手合わせ…京都でかるた始め読売新聞 1月3日(日)23時4分配信
新春を祝う「かるた始め」が3日、京都市東山区の八坂神社であり、平安装束姿の男女18人が百人一首の手合わせをした。
同神社の祭神・素戔嗚尊(すさのおのみこと)が詠んだ歌が、和歌の起源とされることにちなむ行事。大勢の初詣客が見守る中、日本かるた院本院(京都市西京区)の会員が袿(うちぎ)や狩衣(かりぎぬ)をまとって能舞台で向かい合い、上の句が詠まれると「はいっ」と素早い手さばきで札を取っていった。
初参加という同市左京区の中学2年の女子(14)は「正月から平安時代の衣装を着て優雅な時間を過ごすことができ、いい思い出になりました」と笑顔を見せた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160103-00050096-yom-soci
さて、素戔嗚尊は「和歌」の元祖であるわけだが、『百人一首』ということで、「八坂神社」*2が相応しいかどうかはわからない。『百人一首』を編集したのは藤原定家なので、定家所縁の場所でやるべきではないだろうか。藤原定家と祇園との関係はよくわからないし、祇園ということで想起されるのは『百人一首』というよりは『平家物語』なのだ。祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。藤原定家を祀る神社はないのか。群馬県高崎市に「定家神社」があるのだが*3、京都に定家を祀る神社が存在するのかどうかわからない。だったら、「八坂神社」でもいいのかということになる。さらに突っ込むと、、「八坂神社」というのは神仏分離令以前には「神社」ではなく、牛頭天王を祀る天台宗の寺(「祇園感神院」)だったのであり*4、スサノオは後から習合されたにすぎないということはある。
- 作者: 安東次男
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1976/11
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (7件) を見る
*1:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%AE%89%E8%A3%85%E6%9D%9F
*2:http://web.kyoto-inet.or.jp/org/yasaka/ See eg. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E5%9D%82%E7%A5%9E%E7%A4%BE Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080710/1215619908 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150619/1434685712
*3:See eg. 石川泰水「中世歌人と神社」http://www.gpwu.ac.jp/ext/gunma_studies/start/study_049.html 「地元の神社のちょっといい話。」http://youkosotakasaki.com/2015/02/post_35.html
*4:See eg. 鷲田清一「時間の佇まい」(in 『夢のもつれ』、pp.163-168)