堂々とaffirmすればよろしい

腹Black「【炎上】ゆうちょ銀行が学歴フィルターを仕掛けていたことが判明!勇気ある学生が告発して大祭りに!!!!!」http://netgeek.biz/archives/38516


「ゆうちょ銀行」の「セミナー」に「日東駒専」だと参加できないけれど、「東京大学」だと参加できるようになっていたという話。それを実証した学生が凄い! という話になっているようだけど、この手のいわば逆アファーマティヴ・アクションとでもいうことができる話というのは昔からあったわけだし、大学の名前でスクリーニングをかけることの妥当性とか合理性とか*1に関しても、賛否のどちら側にしても、やはり昔からあったわけだ。
それに対して、山口浩氏*2は「「学歴フィルター」を公表したらよい」というエントリーで*3


もともとこのきっかけを作った学生(本当に学生なのかどうかはわからないが)は、学歴フィルターそのものに対して怒ったのだろうか。もしゆうちょ銀行が、「セミナー枠は出身大学ごとに設定しています」としていたらどうだったろう。もっとはっきり「有力大学出身者を優先して採用します」と書いていたらどうだったろう。もしそんなことをしたら、世間的にはそれなりに問題になったかもしれないが、当の学生にとっては、ひょっとしたらむしろありがたいのではないか。無駄な努力をする必要がないからだ。

ということは、ゆうちょ銀行が実際に上記のようなことをやっていたのだとすると、それは自らが行っている、社会的に批判を浴びるかもしれない行為を隠蔽するためということになろう。それこそが批判されるべき点ではないか。「学歴は関係ありません」という「ええかっこしい」をして、その実、裏で操作しているのだとすれば、それは「年齢不問」といいながら40歳以上は採らないとか、「女性も活躍できる職場」とかいいながら実際には女性はほとんど補助職とか、そういう類の行為となんら変わるところがない。上記の通り、年齢や性別と比べて能力による「差別」はあまり社会的批判を浴びないようだが、だからといって隠していいということにはならない。もちろん、社会的批判を浴びると嫌だから隠すというのも(実際にやっているのなら)卑怯だ。

というわけで、暴論めくが、強引に主張しておく。「学歴フィルター」を設けるなら、企業はその旨と、実際にどんな「フィルター」を設けているかを公表すべきだ(ぱっと見たところ、日本郵政グループの採用ページ*4には「学歴フィルター」の存在を伺わせる説明はない)。「当社の社員を調査した結果、学歴と業務上のパフォーマンスには関係があるので、有力大学出身者を優先します」でも、「社長の出身大学の学生は優遇」でも、なんとでも決めて公表すればよい。各大学ごとの応募件数と採用人数の実績も公表するとよりわかりやすい。就活サイトあたりが代行して公表してくれるとさらに便利だ。

もし隠しておきたいと思うなら、そんなことはやるべきではない。

と述べている。つまり、低偏差値大学の学生なんか要らないよと思うなら、堂々とそのことを公言しろよ、秘密にするな。そうすれば、要らないと思われている学生も最初から無駄な努力をしなくても済む。これは全くの正論なのだが、石渡嶺司*5という「大学ジャーナリスト」は「学歴フィルターを公表しろ、と言われても大学ができていないし〜学歴フィルターシリーズその2」*6において、山口氏の論を「机上の空論」だと一蹴している。まあそれはいいのだけど、その根拠というのがちょっとアレすぎるのだ。「大学名・学歴による差別は合法です」。だから何なの? さらに、「山口教授のお説ごもっともですが、経済活動の自由を認めた憲法を改正するなり、学歴差別禁止法を制定しようとしたところで、どれだけ賛同者がいて、果たしてどれだけ時間がかかるやら」だって。どうして、憲法改正問題に行きつくの? 山口氏は別に「学歴差別」が悪いとか「学歴フィルター」なんてやめろとか言っていないわけだ。問題にしているのは、やるんだったら堂々とやれよ、ということだけ。まあ影でこそこそやるのはよくない。それが許されるのは何かしらのサプライズ効果を狙ったときだけだ、というのは一般的な倫理問題として首肯する人は多いんじゃないだろうか。さらに、駒沢大学の「学歴フィルター」を「公表」しろとか息巻いているけど、これは問題の性質を全く取り違えていると思う。結果として、偶然なのか必然なのか知らないけれど、或る種の大学が排除されているというのと、アーキテクチャの問題として或る種の大学が弾かれているというのは全く別の問題だろう。最近問題として再発見された「学歴フィルター」というのは後者の問題であるわけだ。サイトのプログラミングというか仕様によって或る種の大学が弾かれてしまうのだから。
さて、都合の悪い事実というのがあって、石渡は「東洋大学社会学部」卒業。つまり、私の後輩ということになるじゃないですか。こいつと同様にくるくるぱーだと思われるなんて嫌だよ!