ドッジボール論争

R25』の記事;


ドッジボールは暴力」に賛否
web R25 6月4日(木)7時1分配信


小学校の体育の授業などで誰もが一度はやったであろう「ドッジボール」について、ツイッター上に「野蛮なスポーツなので禁止するべき」という意見が登場。多くの人から賛同の声が寄せられている。

ドッジボールは、英語の「Dodge(=身をかわす)」という単語から名前がついたスポーツ。日本ドッジボール協会(JDBA)*1によれば、「英国が発祥との説」があるドッジボールは、元々は「防御側は身をかわすだけ」だった。だが学校教育で取り入れられ、様々に工夫が施され、やがてキャッチが認められるようになった。さらに、地域やプレーする場所、指導者によってもルールが異なるため、1991年にJDBAが発足し、「競技」としての全国統一ルールが制定されたのだ*2

JDBAによると、公式ルールでは、1チームの人数やコートの内外野の広さのほか


「顔や頭にボールが当たった場合はセーフ(ヘッドアタック)」
「パスは4回まで、5回目には攻撃しなければいけません(ファイブパス)」
「相手のコートに転がっているボールをかき寄せてはいけません(ホールディング)」


などを細かく定めており、これに則って、今では全国大会や国際大会も開かれているそうだ。

そんな進化を遂げてきたドッジボールだが、5月30日、作家・コラムニストの勝部元気さんが「ドッジボールを学校でやらせるのを早く禁止するべき」というツイートを発信した。勝部さんは、「義務教育で全員参加させるべきではない」「やりたい人だけがやれば良い」と、“条件付き”で禁止説を主張。


「他人にボールをぶつける野蛮なスポーツであり、イジメにも繋がりやすい」
「暴力性が強く、運動が苦手な人は恐怖心に苛まされる」
「当てるほうも当てられるほうも、心優しい人ほど傷付くスポーツ」


など、立て続けにドッジボールの問題点を指摘した。

この意見は、ツイッターで大きな議論を呼んだ。多かったのは、


「痛いだけでやりたくなかったな」
「私もドッジボール大嫌いだったな〜〜〜〜〜!!!!とうとう一度もボールを取ったことのないまま卒業したの覚えてる!」
「なんであれが体育の授業であるのか意味が分からなかったよ。いつも最初に狙われてたもん」
「サッカーとかなら脇で突っ立てればいいがこれはそうもいかんからなぁ。本当に嫌だった」
「トロい私にとっては暴力としか感じられなかった。当たると痛いし当てるのも嫌。楽しいと思ったことは一度もなかった」


など、「ドッジボールが嫌い」という意見だ。だが一方で、


「自分の嫌いなものは何でも禁止しろっていう発想が、あんまり建設的なものには見えないんですよね」
「なんでこうすぐ禁止したがるのか・・・」
「無茶苦茶だ。それを言い出したら『絵の苦手な人間にとって全員参加で貼り出されもする写生大会はイジメの温床になるから禁止』『書道が苦手な人間にとって全員参加で貼り出されもする書き初めはイジメの温床になるから禁止』等々なんでも成り立つがな」
「いじめるやつが悪いんであって、ドッジボールが悪いわけじゃないんだよなぁ・・・」
「えー、私運動苦手で球技大嫌いだったけど、ドッジボールは逃げ回るだけで終了するので楽だったんだけどな。バレーボールやバスケのほうがつらくない?」


と、問題があるとしても“禁止”にしたり“ドッジボールのみ”を批判するのは極端だとの声もあった。

いずれにせよ、ゲームを始めるのが簡単なだけに、レクリエーションなどでも採用されがちなドッジボールだが、学校関係者は「嫌いだという人がいる」という事実を覚えておいてもよさそうだ。
(R25編集部)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150604-00000006-rnijugo-sci

この勝部元気という方*3の意見に関しては、


ドッジボール、学校での強制参加を禁止にするべきでは?」http://ameblo.jp/ktb-genki/entry-12033727086.html


というエントリーを参照のこと。それなりに説得力のある議論。最終的に同意はしないけれど。それよりも、このエントリーのコメント欄を読んでいて驚いたのは、「ドッジボール」に対するネガティヴでトラウマ的な記憶を持った人がけっこういるなということ。私自身は「ドッジボール」の記憶それ自体が薄れてしまったのだけど。
そもそもドッジボールって、小学校の体育の授業の中で行うべき多くの種目のひとつにすぎない。どういうことかというと、1年中、ドッジボールのみを体育の授業でやっているというのはありえない。また、ドッジボールが向いていない人はやらなくてもいいとはいっても、最低1回はやってみないと、向いているのか向いていないのかはわからない。学校の体育の授業でやらないということは、向いているのかいないのかという以前に、好きか嫌いかという以前に、「ドッジボール」と出会う機会を子どもから剥奪してしまうということになる。
さて、ドッジボールって、小学生、しかも低学年の遊びでしょと思っていたのだけれど、内田良氏*4の「ドッジボール ケガの実態から考える」*5を読むと、小学校(低学年)だけでなく(文部科学省の「指導要領」にはないにも拘わらず)中学や高校の体育の授業でも行われていて、しかも小学校ではドッジボール関連の負傷は減っているのに、高校では増えているというのだ。いまどきの高校生は(小学生みたいに)ドッジボールをやるというかやらされているということにも驚く。まあ、中学・高校まで「必修」にする必要はないでしょ。