実は『たかじんのそこまで言って委員会』という番組*1は視たことがないのだ。
関係あるかどうか知らないけれど、 多和田葉子『言葉と歩く日記』から引用;
多和田さんは、やしきたかじんの番組をご存知なのだろうか。
文芸誌をぺらぺらめくっていたら登場人物が「何もそこまで言わなくてもいいだろう」とどなる場面があった。この言い方が懐かしい。ドイツ語ならなんと言うだろう。「その言葉によって、あなたは境界線を越えてしまった」だろうか。日本語の言い方には「境界線」が出てこない。「そこまで言う」の「そこまで」は、一体どこまでなのか。多様化した現代社会で、人にものを言う時に「ここまでは言っていい、ここからは駄目」という常識をわたしたちは本当に共有しているのか。
「そういう言い方はないでしょう」と言われたら言い方だけなおせばそれでいいようで気が楽だが、「それを言ったら身も蓋もないでしょう」と言われたら、言語は鍋の中の味噌汁のようなもので、身や蓋があるのかと思ってしまう。(p.32)
- 作者: 多和田葉子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/12/21
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*1:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080809/1218256301 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110908/1315414294 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130903/1378221389 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131023/1382498882 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140110/1389361639 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140112/1389486399