クール・ビズ推進委員会?

数か月前に和辻哲郎宮沢俊義天皇問答*1を引用したことがある*2
丸谷才一*3「ネクタイとバッジ」(in 『月とメロン』)から少し引用;


数多くの古人今人がネクタイについてあれこれ言つてゐるなかで、わたしに最も衝撃を与へたのは、文化学院創立者西村伊作が戦争中に述べた「天皇ネクタイ説」であつた。戦後ずいぶん経つてから読んだのに、あれにはドキリとした。
天皇はネクタイみたいなもので、実用価値はないように見えるけれど、しかしないと格好がつかない、とあの時代に発言して物議をかもし、憲兵隊に引つ張られ、不敬罪に問はれさうになつたのである。やるねえ、あのリベラリスト
これは戦後ならむしろ天皇制擁護でせうけれど、何しろあのころは天皇機関説排撃なんてことを軍部が唱へ(正確に言へば蓑田胸喜が言ひ出したことを軍部が利用し)、全国民がそれに従つた時代であつた。知識人が全員、黙つてその事態を傍観した時代であつた。天皇が機関でいけないのなら、ネクタイではもつと怪しからぬ。じつに危険な言論でありました。(pp.52-53)
月とメロン (文春文庫)

月とメロン (文春文庫)

以前

ところで、「天皇はいらない」と言っている時点で、既に天皇制に負けているという気もする。何故〈共和政にしよう〉と言わないのかとも思うけど。また、何故政治学的な普遍概念としての君主制、人類学的な普遍概念としての王権という準位において議論をしないのか。まあ、右翼が君主制とか王権という準位で議論をしたがらないというのはわかる気がする。この人たちにとって、日本の天皇制度というのは(例えば)中国の皇帝制度とか英国の王政とかとは比べることができない唯一無二・絶対無比な日本の国体=国粋だと考えているだろうと考えられるからだ。天皇制反対の左翼が君主制でもなく王権でもなく、天皇制に拘るというのは既に右翼のいう唯一無二・絶対無比を飲み込んでしまっているということでは? (後略)
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100110/1263064196
と書いたことがあった*4。 まあ〈反天皇(制)〉という言い方が好きではないのだが、クール・ビズ推進と名乗れば、そのイメージはかなり向上するかな?