古代日本語の時間(藤井貞和)

承前*1

日本語と時間――〈時の文法〉をたどる (岩波新書)

日本語と時間――〈時の文法〉をたどる (岩波新書)

藤井貞和『日本語と時間』「始めに」からメモ。
古代日本語における「時間」を表す「助動辞」;


――過去の一点を示す(語り手からであろうとなかろうと)
けり――時間の経過(過去から現在へ、過去からつづいていまにある時間)
――さし迫る、既定となりつつある時間、〜てゆく、〜てしまう
――ついいましがた、さっき、〜てのける、〜てしまう
たり――〜てある、〜てしまいいまにある
――〜(し)おる、〜(し)ある
(略)
けむ――〜たろう(過去推量)
(略)
あり――「けり」「たり」「ざり」「なり(に・あり)」「たり(と・あり)」などの構成要素(現在)(pp.i-ii)
また

(前略)「き」、「けり」、ar-i(あり)および「けむ」には、過去や現在といった時制がこもる。
「ぬ」や「つ」は、〈いま〉という時のいろいろな在り方や広がりをあらわすので、時制とみなさない。
「たり」は時制としても、非時制としても発達して、現代語の「た」になる。(pp.iii-iv)