哈金(メモ)

石剣峰「哈金把”南京大屠殺”写成美国的故事」『東方早報』2011年10月11日


作家、 哈金の小説Nanjing Requiem(『南京安魂曲』)*1が10月18日に英語版・中国語訳同時に刊行される。但し、中国語版は既に先月、雑誌『収穫』に一挙掲載されている。哈金の著書が中国大陸で刊行されるのは2002年の『等待』(オリジナルWaitingは1999年刊行)以来のこと。Nanjing Requiem南京大虐殺を、当時難民救援に奔走した米国人宣教師Wilhelmina Vautrin(aka Minnie)*2の視点から描いたもの。上掲の記事にはそれに因むインタヴューが付されている。それによると、南京大虐殺の際の米国人宣教師の活躍は中国においても米国においても無視されがちであったという。宣教師たちは米国に帰国後「與紅色中国的関係」を疑われ迫害された。また、Minnieが後に精神を病んで自殺したことも彼女の活躍が無視されたことの一因であったという。
また曰く、


其実外国人対他国歴史都不太感興趣、但通過文学作品、就有這可能。很多人就靠小説来了解歴史的。另一面、中国這百年来有許多重大事情、但変成文学作品的也不多。而日本原子弾爆炸後就誕生了《黒雨》*3等在世界上影響深遠的小説、我們這類作品不多、更不要説在世界上有影響的文学作品。
 
黒い雨 (新潮文庫)

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哈金は1956年に中国遼寧省に生まれ、14歳で人民解放軍に入隊し、1977年に黒龍江大学英語系に入学し、1985年に山東大学で米国文学修士(碩士)号を取得した後、ブランディス大学博士課程に留学したが、天安門事件を契機に米国永住を決意し、現在はボストン大学教授*4。渡米直後に英語で詩を書き始めて以来、一貫して英語で書いている。
哈金のバイオグラフィについては、Sandra S. Hughes “Ha Jin (b. 1956)”*5がいちばん詳しいようだ。ほかに、


http://en.wikipedia.org/wiki/Ha_Jin
http://www.bookreporter.com/authors/ha-jin
http://www.illiterarty.com/authors/biography-ha-jin


とか。
また、哈金は譚盾のオペラThe First Emperor*6のリブレットを書いている。

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