アニメーション/アニミズム

ティーヴ・ジョブスが亡くなったが*1、アップルの創業者としてのJobsは語られてはいても、アニメーション製作会社のピクサー*2は、そもそも彼がルーカスフィルムのアニメ部門をジョージ・ルーカスから買い取って独立の会社にしたのであり、2006年にディズニーに売却するまでスティーヴ・ジョブスによって所有されていたということはあまり語られていないような気がする。何故こういうことを言うのかといえば、上海当代美術館で『皮克斯動画25年(Pixar: 25 Years of Animation)』という展覧会が開催されており、最近観てきたからだ*3
この展覧会でいちばん展示が詳しかったのは『トイ・ストーリー』だったが、『トイ・ストーリー』は(ピクサーのみならず)アニメにはよくある(人間以外の)生物(動植物)の擬人化ではなくて人造物の擬人化。無生命の玩具に生命、さらには意志が賦与されるという意味でのアニミズムが認められる。このアニミズムは〈原始性〉などとは一切関係ない。道具たちが夜な夜な騒ぎ出す〈百鬼夜行〉が原始社会などではなく商品経済の発達した中世の京都を前提としているように。元々animationとは〈生命を吹き込む〉という意味だが、ジャンルとしてのアニメーションはそもそもそのような意味におけるアニミズムと関係を有しているのかどうか。そういうことに軽く取り憑かれたのは、最近Andrew Ruhemann & Shaun TanのアニメーションThe Lost Thing*4を観たことにもよるのだが、この映画の中にも様々な機械のような生物或いは生物のような機械が出て来る。ここでは擬人化は一切ない。ただ何処となくノスタルジックな雰囲気の中で、生物と機械が相互浸透している。また、その雰囲気は全く違うけど、メカニックな生き物たちが跳梁跋扈する世界ということで、(アニメーションではないが)ロジャー・ディーン*5のイラストレーションを思い出したりもした。

トイ・ストーリー [DVD]

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