「婚活ブームでどう変わった?未婚率のデータを2005年と2010年で比較してみた」http://blog.livedoor.jp/ld_directors/archives/51689035.html
筆者は「婚活サイト「youbride(ユーライド)」*1を担当している小野」という人。
「未婚率」の変化についての言及が続くのだが、後半で「結婚していない理由」について論じられている。曰く、
そして、結論;
独身者の結婚していない理由が、2005年「第13回出生動向基本調査」で発表されています。
こちらは30代に限定してグラフにしてみました。「適当な相手にまだめぐり会わない」というのが、男女ともダントツ1位となっています。「独身の自由や気楽さを失いたくない」という結婚“しない”理由も2番目に上がってきますが、1位との差はかなり大きいです。
youbrideが2009年に会員に実施したアンケートでも「出会いがない」「理想の相手に出会えていない」という理由が1位2位を占めていましたので、結婚“できない”理由として「出会い」というキーワードが、今も変わらずあるようです。
寧ろ、「婚活」*2をするから結婚できないという視点を持つべきだろう。「婚活」なる言葉が生まれる以前に、山田昌弘氏は「ツヴァイ」等々の結婚紹介機関に登録することによって逆説的に結婚が遠のいてしまうことを指摘していた(『結婚の社会学』)。そのような機関に登録したコミットメントの強い人は結婚(相手)に対する期待値が高く、仮令「出会い」があったとしても、もっといい人と出会えるかも知れない、ここで下手に妥協してしまえばこれまでの投資が無駄になってしまうと考え、決定を先送りする傾向がある。つまり、真面目に「婚活」すればするほど、却って結婚から遠ざかってしまうのだ。だから、「生涯未婚率」を減らしたいなら、すべきことは「出会いの質」の重視などではない。「出会いの質」に対する期待値を如何にして低くするかが問題となるだろう。「自分のコミュニケーション能力のなさを自覚し、自分の理想通りの相手など存在しないことを経験から学ぶ場」(山田昌弘『希望格差社会』*3、p.279)とすること。
このように一部の世代に婚活ブームの影響がみて取れる一方で、全体的にみたときの未婚率の上昇や、生涯未婚率の上昇が明らかになっています。そしてその原因の大部分は、結婚したい独身者が「出会い」がないという理由で結婚できていないためです。
この独身者が求める「出会い」というのは、「出会いの数」ではなく「出会いの質」であることは、youbrideを運営する中で強く実感します。ネットを使えば「出会いの数」を増やすのは容易です。それこそ、youbrideのようなネット婚活が利用者に提供できる最大のメリットです。しかし、自己責任になりがちなサービスの特性上、難しいのが「出会いの質」です。今後のネット婚活サービスでは、技術や運営経験からマッチングする相手を紹介するような「質」を重視したサービス提供が、重要になってくると思います。
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