引退?

正直言って、このネタが正念場を迎えたリビア情勢、或いは米国東海岸地震*1よりも重要なのか。
『サンスポ』の記事;


やく氏、紳助引退は業界に「影響はない」
2011.8.24 05:05


 お笑いタレント、島田紳助(55)が23日夜、所属する東京・新宿区の吉本興業東京本部で会見し、芸能界引退を発表した。

 テレビで共演経験のある漫画家のやくみつる氏(52)はサンケイスポーツの電話取材に「引退の原因になった件は存じ上げないのでコメントできない」としたが、「紳助さんの仕切りのうまさは1番だった」と惜しんだ。

 「関西弁を最大限に生かして、時にはゲストをいじったり、関西弁の持つ毒をうまく使っていた」と話術を称賛。「くりぃむしちゅーとか爆笑問題とか次の世代は育っている。そんなに大きな影響はないと思う」とテレビ業界への影響は心配していない様子だったが、テレビ東京系「開運!なんでも鑑定団」だけは別だと指摘。「あの番組は目利きの効く人でないと務まらない。紳助さんは富の使い道の一つとして、そういうものにも興味を持っていた」。

 これからの紳助については「多趣味ながら、それを生かす時間がなかったのでは。今までの分、遊び倒してほしい」とエールを送った。

吉本興業常務のフリープロデューサー木村政雄氏の話

 「ビートたけしさんや明石家さんまさんと新時代をけん引してきた人が、こうしたことで芸能界を去ってしまうのは惜しい。しかし売れっ子であればあるほど、社会的影響力は大きく、責任を自覚しなくてはならず、一定のけじめをつける必要からも引退はやむを得ないだろう。強いてエールを送るなら、ビジネスセンスやクリエーティブな才能があるので、タレント活動を辞めても違った形で才能を発揮してもらえたらと思う」

精神科医香山リカさんの話

 「法に触れないのなら引退までする必要があったのか。芸能界と暴力団の癒着は昔から黙認されてきたが、もはや社会的に許されないとの判断だろう。島田さんは単なるお笑い芸人を超えた世の中のご意見番のような存在でテレビ業界への影響は大きい。1人の人気者に頼った番組作りのあり方を考え直す契機になるかもしれない」

雑誌「上方芸能」発行人の木津川計氏の話

 「島田紳助さんの笑いは、強者として弱者をいたぶる暴力的な雰囲気があり、危うさを感じさせた。さわやかで潔癖な人物とは誰も思っていないはずで、今回のことを意外に感じる人は少ないのではないか。芸能界と、暴力団など裏社会との関わりは根深いものがある。しかし暴力団との関係を続けて芸能界のチャンピオンにとどまることをせず、引退を決めたのはよいことだ。蓄財もあるだろうし、何をしても生きていける人だと思う」
http://www.sanspo.com/geino/news/110824/gnd1108240507005-n1.htm


紳助、山口組ナンバー4に直筆手紙送る
2011.8.24 11:29


 暴力団関係者との関係を理由に引退を表明したタレントの島田紳助(55)が、友人の元ボクシング世界王者渡辺二郎被告(恐喝未遂罪で実刑判決を受け上告中)を介して暴力団関係者と交わしたメールは親密ぶりをうかがわせ、大阪府警による暴力団関係者の家宅捜索では紳助からの手紙が見つかっていたことが24日、明らかになった。

 捜査関係者によると、この暴力団関係者は、指定暴力団山口組ナンバー4にあたる「筆頭若頭補佐」という役職を持つ幹部。大阪府警が2005年にこの幹部の関係先を家宅捜索した際、紳助から幹部に宛てた直筆の手紙や、幹部と同席した写真が見つかっていた。

 関係者によると、紳助は手紙を書いたことは認めているが、写真を撮った記憶は定かではないという。

 また、紳助は05年から07年ごろのメールで、この暴力団幹部が競売入札妨害などの容疑で大阪府警に逮捕されたことを心配し、自分が経営する店で高額な飲食をしてくれたことを感謝していた。大阪府警が07年に渡辺被告を逮捕した際の携帯電話の解析でも同様の内容が明らかになったという。

 紳助が23日の記者会見で明らかにした十数年前のトラブルは、テレビ番組での自身の発言をめぐる右翼とのもので、渡辺被告を通じ、同幹部が解決に乗り出していたことが捜査関係者への取材で判明した。(共同)
http://www.sanspo.com/geino/news/110824/gnd1108241130011-n1.htm

この記者会見の映像は視ていない。視た人は色々ごにょごにょ言っているようだ*2。ごにょごにょ言われているということは既に島田紳助の行動は戦略的にも戦術的にも既に半分失敗しているということでは?
最初このニュースを知ったときに思ったのは、これで「引退」なら美空ひばりの歌は放送禁止になってしまうの? ということだった*3。或いは、中学生だった矢野顕子に英語を教えたのは現役組員時代の安部譲二だったので(See 遠藤瓔子『青山「ロブロイ」物語』)、これもアウト? 例えば映画のロケとかで、盛り場で撮影するときは地元のやくざに、道路を使用するときは地元の暴走族に先ず挨拶を入れるというのは世の常識に属していたのではなかったか。ところで、島田紳助って数年前に暴力事件を起こしているんだよね。「引退」するのならそのときに引退すべきだったろう。自ら他人に暴力を行使するよりも「暴力団」と付き合う方が悪いことなんだ? これって、カタギのみなさん、どんどん暴力を振るいましょう! って言っているようなものなのでは?

枝野長官、紳助引退は「やむを得ない」
2011.8.24 12:55


 枝野幸男官房長官は24日の記者会見で、タレントの島田紳助暴力団関係者との関係を理由に芸能界引退を表明したことに関し「政府は企業活動からの暴力団排除に向けた取り組みを強力に推進している。やむを得ない」と述べた。

 同時に「島田さんの能力は努力してつくれるものではない一種の天才的な側面があり、国民から親しまれていた。大変残念だ」と惜しんだ。(共同)
http://www.sanspo.com/geino/news/110824/gnd1108241256013-n1.htm

枝野*4が(嘘でもいいから)政府は今後は政治家と暴力団の癒着を重点的に追及してゆくかましていたらどうなったのだろうか。小沢一派とか自民党はびびっただろうか。
ところで、「実は今でも、多くの日本人が北朝鮮の民主主義への幻想を捨てきれていない。」という記事があって*5、『神聖モテモテ王国』という漫画が言及されているのだが、井筒和幸の映画『ガキ帝国』に言及していれば、その勘のよさを末代まで讃えられただろうに、残念だ。
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西の「吉本」のごたごたではなくて、東の「吉本」の話。田島正樹*6吉本隆明原発*7を斬る;


 8月5日日経の記事で、吉本氏は述べている。「原発をやめる、という選択は考えられない。原子力の問題は、原理的には人間の皮膚や硬い物質を透過する放射能を産業利用するまでに科学が発達を遂げてしまったという点にある。燃料としてはけた違いにコストが安いが、そのかわり、使い方を間違えるとたいへんな危険を伴う。しかし発達してしまった科学を後戻りさせるという選択はあり得ない。それは人類をやめろ、というのと同じです。」
 「燃料としてはけた違いにコストが安い」というような見解がどうして出てくるのか? 未だチェルノブイリもフクシマも、総計としてどれだけの費用がかかるのか分からないし、廃棄物処理の費用の総計もわからない。そもそも、どのように廃棄物処分するのか、最終処分場の場所さえ分からないのだから当然だが。しかし、当面明確なコストをざっと合計しただけでも、今後経済的に通用するためには、いざとなったときの政府保証がない限り不可能だ、というのが常識だ。つまり、原発は純市場合理的には自立できないものであり、国家の後ろ盾があって初めて通用するにすぎないほど、コストがかかるものなのである。それが証拠に、同紙同日の紙面に原発推進の立場から意見を寄せているジョン・ハムレ氏(米戦略国際問題研究所所長)は、民間企業では、事故処理のコストの責任を負えないから、政府がしりぬぐいの保証をすべきだ、と主張している。
 もちろん、NASAのプロジェクトとかある種の軍事技術(たとえば原爆開発)のように、市場合理性を無視しても技術開発を進めなければならない、という政策判断があり得るかもしれない。しかし、原発が経済的に合理的だというのは、端的に嘘である。 
 さらに、後段にある「発達してしまった科学を後戻りさせるという選択はあり得ない」には、なんとも口あんぐりである。蚤や虱の除去には有益であったDDTは、科学の発展の結果であったが、さらに科学が発展した結果、強い発癌性があることが分かり、使用しなくなったのではないか? アスベストフロンガスはどうか? これらも科学進歩の結果だが、さらなる進歩の末に、それぞれ理由あって放棄された技術ではないか?
 このような普通の人が言えばまったく世迷い言としか思えない主張でも、吉本氏のような「戦後思想の巨人」が語れば、一流紙の紙面を飾ることになるらしい。
http://blog.livedoor.jp/easter1916/archives/52181256.html