承前*1
『朝日』の記事;
『ガーディアン』の記事は、
「失敗を血液型のせいに」 前復興相弁明に欧州驚き松本龍・前復興担当相が辞任前に「私はちょっとB型で短絡的なところがある」と、血液型に触れて釈明したことが、海外で関心を呼んでいる。血液型による性格判断になじみがない欧州メディアは「失敗を血液型のせいにできるのか」と驚きを隠さない。
アイルランドの日曜紙は10日、釈明について「被災者は(怒りで)血が煮えたぎったはずだ」と評した。自国の前首相がラジオであやふやな応答をした際に「鼻づまり」と弁明したことについても「松本氏に比べれば信頼できる」。南アフリカの経済紙は「これから閣僚にはA型の人物を任命すべきだ」と提案。英紙ガーディアンは血液型別の性格を例示し「わが国の政治家はどれ」と問うた。
http://www.asahi.com/international/update/0712/TKY201107120696.html
John Crace “What does your blood type say about you?” http://www.guardian.co.uk/world/2011/jul/05/blood-type-say-about-you
また、
Justin McCurry “Japan's reconstruction minister resigns after offending tsunami victims” http://www.guardian.co.uk/world/2011/jul/05/japan-reconstruction-minister-resigns
See also http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110715/p4
John Craceの記事では、日本の血液型理論のそもそもの動機として、台湾人が「人種的に劣等であることの証拠を探す」ことというのを指摘している。但し、そこで〈劣等〉の証拠とされたのはO型。
これを機会に、西洋でも〈血液型ブーム〉が起こるかも知れない(笑)。以前にも書いたのだが、日本のような血液型理論が文化としている社会では、(例えば)A型の人はかくかくしかじかのように振舞うという役割期待が形成され、それに従ってA型の人も他者の期待を読んで、実際にかくかくしかじかのように振舞ってしまうということが起こりうる。マートンのいう〈予言の自己成就〉(『社会構造と社会理論』)の一例*2。松本龍の血液型発言が日本では大して問題にもならなかったというのは、多くの人が〈血液型文化〉を共有しており、それが自明の事柄に属すものだったからだろう。他方、その出自が不当に問題視される松本氏も日本文化にずぶずぶに漬かった普通の日本人だったということでもある。松本氏が〈星座〉について語っていたなら、西洋人も即座に納得、ということになっていたのではないか。
- 作者: ロバート・K.マートン,Robert King Merton,森東吾,森好夫,金沢実,中島竜太郎
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1961/09/11
- メディア: 単行本
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