『アンフォルメルとは何か』

ブリヂストン美術館*1に『アンフォルメルとは何か 20世紀フランス絵画の挑戦(Postwar Abstract Painting in France and Art Informel)』 を観に行く。この展覧会では、第二次世界大戦後の仏蘭西に勃興した「アンフォルメル」という美術運動の代表的なアーティスト、つまりジャン・フォートリエ、ジャン・デュビュッフェ、ヴォルス、アンリ・ミショー、アンス・アルトゥング、ピエール・スーラージュ、ジョルジュ・マチウ、ジャン=ポール・リオベル、ジャクソン・ポロック、サム・フランシス、カレル・アベル、ピエール・アレシンスキー、ルーチョ・フォンタナ、セルジュ・ポリアコフ、菅井汲、堂本尚郎今井俊満、趙無極*2の作品が展示されている*3。それと同時に、展示の第1部が「抽象絵画の萌芽と展開」となっており、観客はアンフォルメルの前史というか抽象絵画の歴史を復習できるようになっている。ここでは、抽象画の起源として、19世紀の印象派後期印象派象徴主義が位置づけられている。中でも興味深かったのは、ピエト・モンドリアンの1907年の「砂丘」という作品。モンドリアンは最初風景画を描いていたが、これは風景画から抽象画に移行するちょうど過渡期的な作品。アンフォルメルの初期的な動機には、モンドリアンを代表とする幾何学的抽象画への反発があったわけだが、「砂丘」は後のモンドリアンの抽象画よりもパウル・クレーなどのスタイルに似ている。
展覧会のカタログのほかに、「今井俊満・最後の口述筆記」を含む『今井俊満の真実』(藝術出版社、2003)を買う。

今井俊満の真実

今井俊満の真実

少し歩いて、日本橋丸善へ行く。日本橋丸善に入ったのはほぼ10年ぶりなんじゃないか。思ったのは、もうここは知識人のための本屋ではないなということだった。

*1:http://www.bridgestone-museum.gr.jp/

*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060409/1144599467 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060913/1158149645

*3:仏蘭西におけるアンフォルメルと米国における抽象表現主義とは、時期においてもスタイルにおいてもパラレルなところがあるといえるだろう。実際、上に羅列されたうち、2人の米国人つまりジャクソン・ポロックとサム・フランシスは勿論抽象表現主義の代表的アーティストでもある。