ストレス(メモ)

Via http://d.hatena.ne.jp/Talpidae/20110324/p1

中井久夫先生*1阪神大震災体験記「災害がほんとうに襲った時」が最相葉月さんによって公開されている;


最相葉月中井久夫「災害がほんとうに襲った時」電子データの公開および無償頒布につきまして」http://homepage2.nifty.com/jyuseiran/shin/shin00.html
中井久夫「災害がほんとうに襲った時」http://homepage2.nifty.com/jyuseiran/shin/shinall.html

1995年1月・神戸――「阪神大震災」下の精神科医たち

1995年1月・神戸――「阪神大震災」下の精神科医たち

さて、『朝日』と『毎日』の記事;

被災地でなくても不安・動揺 保健室駆け込む子が急増(1/2ページ)

2011年3月29日14時49分


東日本大震災の被災地から離れた首都圏などの小中学校で3学期、保健室に駆け込む子どもたちが増えた。「地震放射能が怖い」「眠れない」と不安を訴えたり、教室で泣き出したりしたという。新学期もなお動揺している子が出ることも考えられ、専門家は保護者や教師に配慮を求めている。テレビで被災地の状況を見続けていることや、保護者が家庭で不安を口にしていることが背景にあるようだ。

 「いつでも逃げられるようにと思うと、カバンが手放せない」。東京都内のある区立中学校では14日、2年生女子が通学カバンを抱きかかえ、泣きながら保健室に来た。震災の様子を伝えるテレビ番組を見続けて「怖くて涙が止まらない」と言う。女性養護教諭(36)はうなずきながら聞き、11日の地震当時のことは「上手に避難できたね」とほめた。彼女は次第に落ち着き、その後体育の授業に参加して「体を動かしたら元気になった」と報告に来た。

 保健室には「不安で眠れない」「揺れ続けているようで気持ち悪い」と生徒たちがひっきりなしに訪れた。授業中に地震があると、泣き出す子も多かった。

 横浜市の市立学校は、震災に関する配慮から保護者が子どもを休ませても欠席扱いにしない措置を取った。ある市立中学校では5日間で1、2年生10人以上が休んだ。登校した2年生男子も「眠れなくて体調が悪い」と保健室を訪れ「こんな大変な時によく授業なんかやりますね」と漏らしたという。養護教諭(48)は「母親が放射能汚染などの報道を見るたびに沈んでいるそうで、生徒にも影響しているようだ」と指摘する。

 川崎市のある市立小学校では震災後、児童らが断片的な情報から「ぼくの家も壊れちゃうに違いない」「今度は東海地震が起きるらしいよ」などと毎日のように不安を口にしていたという。同市では地震後、給食を休止し、午前中だけの授業になっていた。男性教諭(55)は、生活リズムの変化も児童の不安が高まる要因になっているとみる。
http://www.asahi.com/national/update/0329/TKY201103290224.html

学校では教諭らが「地震が起きても守ってあげる」と声をかけている。しかし、家庭では保護者も余震や放射能汚染を不安がり、それが児童に伝わっているとみる。教諭は「保護者は風評にまどわされず、冷静に正しい情報をつかんでほしい」と話す。

 18歳までの子が悩みなどを話せる電話「チャイルドライン」支援センターの太田久美常務理事によると、震災後、西日本からも「自分も地震に遭うかも」「テレビで被災地を見ていて不安になる」という電話がかかってくる。

 日本小児科医会の保科清会長は「米同時多発テロの時なども、日本でテレビの映像を見続けた子どもが不安定になった。被災地以外の子に普通に起こりうる異変だ」と話す。保護者や教師らは▽子どもが不安を話し出したら最後まで聞きとおす▽今いる場所は安全だと伝える▽不安がっている時、特に寝る前は震災に関する映像を見せない▽震災の話をするときは自分の不安が伝染しないよう、落ち着いた口調で話す――といった配慮が必要だと話している。(秋山千佳、増谷文生)
http://www.asahi.com/national/update/0329/TKY201103290224_01.html

東日本大震災>首都圏でもストレス 余震、悲惨な映像で

毎日新聞 3月29日(火)11時32分配信
 東日本大震災で、直接大きな被害を受けていない東京近郊でも、高血圧やうつ、不眠症などの持病を持つ患者の症状が悪化する傾向があることが、病院検索サイトを運営する「QLife」(東京都、山内善行社長)の調査で明らかになった。傾向は子供よりも成人の患者に多くみられ、成人では女性や高齢者に多いという特徴もあった。

 今月24〜25日、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の1都5県で無作為に抽出した開業医と勤務医計252人を対象にインターネットで調査を実施した。「過去10日間で震災に関連すると思われる『心因的な病状悪化』が見られる患者」の有無を尋ねたところ、55%が「ある」と回答。このうち、症状が悪化した成人患者の性差に言及した医師(83件)の回答では、73%が「女性が多い」と指摘し、22%が「男女差なし」と答えた。年代別では高齢者ほど傾向が高かった。一方、小児患者に顕著な特徴はみられなかった。

 また、症例別では不眠32%▽めまい22%▽血圧上昇14%▽うつ症状の悪化7%−−の順に多く、「定期受診している人全員が普段より血圧が20〜30ほど高かった」(群馬・病院)、「阪神大震災の被災者で、今回の地震で当時のことを思い出しパニック発作を発症」(東京・病院)などの報告もあった。

 さらに、34%の医療機関で「強い不安の訴え」があり、向精神薬の処方が増えた。不安の原因として「余震」(19.8%)や「悲惨な映像が繰り返される」(13.5%)などが挙がった。

 東日本大震災を巡っては、人気ロックバンド「スピッツ」のボーカル、草野マサムネさんが、震災や原発事故報道などに起因した急性ストレス障害と診断され、ツアー公演の延期が公表されている。【八田浩輔】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110329-00000031-mai-soci

阪神大震災の被災者」の話が出てくるけど、地震が起きた直後に神戸でフィールドワークしている或る人類学者が元「被災者」が心配だと語っていた。2001年の911のときも少なからぬ元「被災者」がWTCが崩壊する映像を見て、被災の記憶がフラッシュ・バックしてしまい難儀したという。また、日常的な人間関係も重要なのだろう。マス・メディア(或いはネット)の情報は直接的というか身近な社会関係にフィルタリングされて解釈・受容されるといえるわけだが、そのような社会関係が希薄であればメディアの情報をストレートに浴びることになる。それから、地震直後は非日常的に精神のテンションが昂っていたが、原発事故の状況や停電問題などもあって、宙吊りのまま非日常が日常化してしまい、日常生活にソフト・ランディングできない、しかし宙吊りを支える精神のテンションを維持するのもきついということがあるのではないだろうか。
さて、『毎日』に中井久夫先生へのインタヴューあり;


手塚さや香東日本大震災:被災者の心のケア 精神科医中井久夫さんに聞く」http://mainichi.jp/select/science/news/20110323ddm014040193000c.html