「神秘主義」ではないよ

Mysticism and Morality

Mysticism and Morality

寝酒代わりにArthur C. Danto Mysticism and Morality: Oriental Thought and Moral Philisophy(Harper & Row, 1973)という古くてぺらい本を捲る。この本のタイトルは誤解を招く。副題のOriental Thought and Moral Philisophyだけで十分だ。メイン・タイトルは余計で不要。「神秘主義」とは言いつつ、扱われているのは基督教神秘主義イスラーム神秘主義スーフィズム*1ユダヤ神秘主義カバラ*2ではなく、ヴェーダ以来の印度思想、仏教思想、老子孔子などである。また、ここで論じられているのは「事実に関する信念(factual belief)」と「道徳的信念(moral belief)」との関係である。道徳哲学(倫理学)の学説としては、「自然主義(Naturalism)」と「直観主義(Intuitioninsm)」、「認知主義(Cognitivism)」と「非認知主義(Non-Cognitivism)」との対立に関わる。最初の方の、例えば窓が閉まっているのに、「窓を閉めろ」という命令には服従することも逆らうこともできない。誤った事実認識に基づく命令には服従することも逆らうこともできない云々といった箇所を読みながら睡眠。

ところで、数日前に牧原憲夫『日本近現代史2 民権と憲法*3を読了。

民権と憲法―シリーズ日本近現代史〈2〉 (岩波新書)

民権と憲法―シリーズ日本近現代史〈2〉 (岩波新書)