『社交網絡』についてコメント

Skeltia_vergberさんがDavid Fincher監督のThe Social Networkについてコメントしている;


一言でいえば「痛々しい」そして「孤独」そういう映画でした。5億人もの会員数が集い、遂にはGoogleを凌駕したFacebookを作り上げた男たちの物語。人間ドラマとして秀逸かつ濃密。怒濤の会話シーンは圧巻そのもの。だけど、これほどまでの量の言葉がまったくコミュニケーションとして成立し得ない世界こそが、圧倒的な現代像としてあるのは本当に理解できる。主人公のマーク・ザッカーバーグは本当にその場にいたら、殴りたいと思わせるほどの「邪悪ぶり」。映画観終わってこの人物に匹敵する「邪悪」で思い出したのは、『ジョジョの奇妙な冒険』第6部のマックイーンぐらいしかいなかった。でも彼の佇まい、エンディングでのある行動がどうしてもマークは許せない奴ではないとも思うのも事実。彼が得ようとしたものは、おそらく彼が持っているたくさんの言葉やアイディア、身体的表現を駆使しても相手には響かない。なぜならマークは、人間をコードの集合体としてしかみていないから。
 なので、彼は永遠に「孤独」だ。彼の持っている表現は彼自身の内部で完結され、他者には理解不能なものだから。(後略)
http://blog.livedoor.jp/skeltia_vergber/archives/51172838.html
大体同意。ただ、Mark Zuckerbergが「邪悪」だというのはどうかな。俺が感じたのは「邪悪」でも善良でもないというか、彼には〈憎悪〉にせよ〈愛着〉にせよ、感情移入というものができなかったのだ。だから、「邪悪」というより空虚(empty)というのが相応しいだろう。監督のDavid Fincherや脚本のAaron Sorkinが意図したのかしなかったのかはわからないが、Mark Zuckerbergの空虚さによって、脇のキャラクターたちの人間性が際立つという効果があった。一緒にFacebookを創設しながら追放されてしまうEduardo Saverin。Zuckerbergにアイディアをぱくられたして、サマーズ学長に直訴し、さらにZuckerbergを訴えるボート部の双子の兄弟。こいつらは鼻持ちならない金持ちの坊やなのだけれど、それはそれとして、反発したり共感したりという感情移入が可能なキャラクターになっている。また、Napsterの創業者Sean Parkerも。彼もいかがわしい奴としてそれなりのいい味を出している。
映像としては、野外のシーンが優れていたと思う。特に凄いと思ったシーンは、冒頭のMark Zuckerbergが女にふられて学生寮に戻るまでの長尺のシーン。あと、美しいと思ったのは、大学の中を流れる川の橋をロングで撮った(多分)早朝のシーン。その後たしか、あの双子がボートを漕ぐアップに移る。冒頭のシーンはバックに流れるホワイト・ストライプスの曲もいい。冒頭のシーンがあれば、後は要らないといってもいいくらい。それから、俺もエンド・ロールで、あのケヴィン・スペイシーが製作総指揮としてクレディットされているのを発見して、お! と驚いた。
でも、この映画、ゴールデン・グローブで各部門独占というのに値するかどうかは微妙だな。


MICHAEL CIEPLY and MIGUEL HELFT “Facebook Feels Unfriendly Toward Film It Inspired” http://www.nytimes.com/2010/08/21/business/media/21facebook.html
DAVID CARR “A Zillion Friends, and a Few Enemies” http://www.nytimes.com/2010/09/19/movies/19social.html
MANOHLA DARGIS “Millions of Friends, but Not Very Popular” http://movies.nytimes.com/2010/09/24/movies/24nyffsocial.html


この映画に対してはFacebook側からかなりの圧力があったようだ。
また、MICHAEL CIEPLY and MIGUEL HELFTの記事の中から


In Mr. Sorkin’s telling, Mr. Zuckerberg is not so much villain as antihero, a flawed human being whose deep need for acceptance becomes the driving force behind a Web site that offers the illusion of it.

If “The Godfather” was about family and “Network” about rage, “The Social Network” appears to be mostly about emptiness.

という部分をカットしておく。
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