消費税論争(メモ)

承前*1

消費税を巡る最近の議論。
先ず消費税の逆進性を指摘する意見;


小飼弾
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51308484.html
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51468149.html
「地下生活者」
http://d.hatena.ne.jp/tikani_nemuru_M/20100610/1276115022
紙屋高雪
http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20100620/1277051091


消費税の逆進性を否定する意見;
池田信夫
http://agora-web.jp/archives/535150.html
http://agora-web.jp/archives/1035708.html


後者の逆進性否定の意見は、その理論的前提が超ユートピア的なので、その現実的妥当性はかなり弱く感じる。金持ちが(金持ちに限らないが)資産を死ぬまでに使い切らない動機として、イエ存続意識というのは弱体化しているかもしれないが、不況下において、自分の娘・息子が自分よりも割のいい職に就く可能性が低下していれば、自分が生きている間に使い切らないで遺産として残すことへの動機付けは強化されるといえる。高齢の金持ちが資産を使い切るように誘導するには、例えば逆進性を否定する論者が(奇妙なことに)反対するだろう、思い切った〈大きな政府〉的な政策が必要となるだろう。例えば、高等教育の全面的無料化とか。
前段落の最後とも関係するが、消費税を上げるにしても据え置くにしても、将又下げるにしても、問題なのは取った税金が如何様に使われるかだろう*2。というか、上げるにせよ下げるにせよ、先ずは使い途から議論が始められるべきだろう。また、如何様に使われるのかというのは政府(政権)に対する信頼とも関係する。基本的に民主党を信頼していない人が消費税引き上げに賛成しているのに対しては、全然支持していない政府を何故信頼できるのかとも思ってしまう。
相続税を上げろという議論も出てくるだろうね。ところで、英国のAIL(「作家などの関係資料を国家に寄贈する代わりに遺族に相続税を減免する」制度)のようなものはあるのだろうか*3相続税、特に現物納付に関して、政府、特に財務省がそれを適切に使う、或いは公共財産としてちゃんと保全する能力があるかどうかについての信頼はないけれども。例えば、相続税として現物納付された旧正田邸(皇后の実家)も更地にすることしか思いつかなかったのだ。