坂本龍一、複製音楽を語る(メモ)

坂本龍一氏に訊く、これからの音楽のかたちと価値とは」
http://www.phileweb.com/interview/article/200908/31/25.html


長瀬さんに教わる。今年9月のもの。
少し切り抜き。


「僕自身も住み分けをしているんですよ。とりあえず気になるものは配信で聴いて、いいなと思ったものはCDで買う。そしてすごく愛着のあるものは、レコードで買いたいなと思う。それは、レコードは手でさわれる『モノ』としての愛着とか、ジャケットに描かれたアートワークの価値が大きいから。オーディオ的にも、アナログですから論理的にはリミットレスの情報を記録できるわけでしょう。メディアとしての可能性という点でも面白いですよね。CDは、モノとしての魅力はレコードより少ないけれど、コンパクトだから置いておきやすいとか、CD時代になってからの音源しかないとかの理由で少しは残っていくのかなと」。

「聞いた話なんですが、今の若い子は携帯電話で音楽を聴くけれど、機種を変更するときに、それまでダウンロードした音楽を一緒に捨ててしまうそうですね。機種間でデータを移行できないということもあるのでしょうが、捨ててしまってそれを顧みないのが習慣になってしまっているのかも知れません。作る側もそういう風潮に合わせるから、どんどん安っぽい音楽が増えていく傾向もありますしね」。

「けれど、もともと音楽って何万年もの間、かたちのない『ライブ』だったんです。メディアを再生して音楽を聴くというスタイルは、レコード誕生以後の約100年くらいの歴史しかないんですね。メディアがなく録音もできない時代、音楽は100%ライブだった。音楽が目に見えない、触れられないデータ化されたものになっている今、もう一度音楽のおおもとのかたち − ライブへの欲求が強くなっている。これはすごく面白いことだなと思っています。なにか必然的な理由があるような気がしてね」。

音楽の複製を巡っては、Alex Ross "An art without a face"*1を引用したhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20050820も参照されたい。(メディアとしての)アナログ・レコードとCDについては、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080728/1217262521 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080725/1216998184 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081007/1223349545 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081106/1225917379でも言及している。坂本龍一については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090905/1252169969 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090908/1252429768を。