少林寺上場? 

石剣峰「“嵩山少林寺上市” 入股作価4900万?」『東方早報』2009年12月16日
Wang Xiang & Lydia Chen “Deal gives Shaolin income to local government, HK company” Shanghai Daily 17 December 2009


『東方早報』が入手した12月10日発行の(河南省)「登封市人民政府常務会議紀要*1」によると、12月9日午前、鄭福林登封市長は「常務会議」を招集し、その会議には登封市の政府及び共産党幹部が出席した。その「会議」の主要な議題は登封市と「香港中旅国際投資有限公司」との合弁会社設立に関することであり、新会社の社名を「港中旅(登封)嵩山少林文化旅游有限公司」とすること、新会社の登録資本金を1億元とすること、2011年の株式上場を目指すことなどが話し合われている。『東方早報』はまた10月21日付けの「香港中旅国際投資有限公司」と「登封市人民政府」の間の「合作框架協議書*2」を入手している。これは「絶秘」(極秘)の印が捺されているが、双方の署名捺印はない。そこでは、少林寺の入場料収入などから会社の資産価値を4900万元と見積もり、「登封市人民政府」が新会社に6000万元の資本注入を行い、12月18日までにその全額を振り込むことなどが合意されている。重要なのは、少林寺側の人物が全く関わっていないことである。少林寺側には「香港中旅国際投資有限公司」との合弁会社設立すら通知されていない。観光地としての少林寺一帯は少林寺の所有地と国有地が入り組んでおり、これまで入場料収入は少林寺と登封市人民政府とに分配されてきたが、「紀要」及び「協議書」によれば、今後は全額、新会社「港中旅(登封)嵩山少林文化旅游有限公司」の収入となる。少林寺の入場料収入は年間約1.5億元に達する。
少林寺関係者は、登封市の行為は中国「宗教事務条例」に違反し、「厳重侵害了少林僧衆和信教公民的宗教感情以及参加宗教活動的合法権益」と批判している。


少林寺については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080105/1199504645 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080906/1220672802 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090225/1235540110も。

*1:「紀要」は大学などの学術機関発行の定期刊行物を意味する日本語での用法とは異なり、中国語では要約を筆記すること、筆記された要約を意味する。この場合は会議議事録。「記要」とも書く。日本語の「紀要」は中国語では「学報」。

*2:中国語でいう「協議書」はかくかくしかじかのことを「協議」しましたということではなく、合意事項としての強制力を有する、日本語では契約書と訳すべき性質の文書。