「日記」(メモ)

言葉にのって―哲学的スナップショット (ちくま学芸文庫)

言葉にのって―哲学的スナップショット (ちくま学芸文庫)

デリダの『言葉にのって』から;


これまで私が何を書いたにせよ、一度たりとも私から離れたことがない夢があるとすれば、それは、日記の形式をとった何かを書くことなんですよ。実のところ、書きたいという私の願望は、網羅的な年代記(chronicle)の願望です。私の頭にひらめくものは何か。私の頭にひらめくすべてのものを保存するほど充分に速く書くには、どうしたらいいのか。メモ帳や日記を再び手に取ることもありましたが、そのたびに放棄しました。結局はあきらめたのです。今では、もう日記をつけていません。しかし、それは私の生涯の心残りです。私が書きたかったものはそれなんですから。つまり、《完全な》日記です。(p.26)
デリダがあと数年長生きしていたら、blogを書いていたかどうか。それはともかくとして、少年時代における「日記」を書くという行為について、

(前略)私はたぶん、家族の無理解だと私が考えていたものを前にして、自分の殻に閉じこもっていたのです。書くこと、日記をつけること、その日記の中に詩を書くこと、それは、家族の中で理解されない子供の、個人的な秘密の返報でした。(p.25)
と語ってもいる。