1985年に出た本

承前*1

教育社会学を学ぶ人のために

教育社会学を学ぶ人のために

手許に柴野昌山編『教育社会学を学ぶ人のために』(世界思想社、1985)がある。目次を書き出してみる;


まえがき


序章 教育社会学の基本的性格(柴野昌山)
第1章 教育社会学の歴史的展開(田中一生)
第2章 教育社会学の研究方法――解釈的アプローチについての覚え書き――(山村賢明)
第3章 家族の体系と社会統制――家族における伝達の社会学――(萩原元昭)
第4章 社会変動と子供観の変遷――子供観の社会学――(徳岡秀雄)
第5章 子どもの社会化と準拠者――社会的オジの不在について〈子どもの社会学〉――(亀山佳明)
第6章 学校組織の社会的機能――学校の社会学――(石戸教嗣)
第7章 学校文化と生徒文化――生徒の社会学――(白石義郎)
第8章 教室における相互作用――クラスルームの社会学――(稲垣恭子、蓮尾直美)
第9章 教師の職業的社会化――教職の社会学――(今津孝次郎)
第10章 マス・メディアと青少年――メディアの社会学――(岩見和彦)
第11章 ラベリングと逸脱――逸脱の社会学――(村上直之)
第12章 企業と学歴――学歴の社会学――(竹内洋


参考文献

これを一瞥して気づくのは、階級とか階層が全く出てこないこと。階級論というと、家族における社会化の問題を扱った萩原元昭氏のテクストにバーンスタインの精密コード/限定コードの紹介があるくらい。当時教育社会学で重要だったことは、規範的パラダイムから解釈的パラダイムへの移行、「子ども」概念の非自明化=問い直しであったことがわかる(勿論、これらは現在でも重要であり、こうしたことを踏まえていない思考がゴミでしかないことはいうまでもないが)。
ブルデューが本格的に注目されるのは1980年代後半に入ってから。但し、初期においてブルデュー紹介に尽力したのは、山本哲士ムッシュ宮島喬以外には、(社会学者ではなくて)仏蘭西文学者だった石井洋二郎氏だった。また、教育社会学における〈階級〉の復活を専門外の人に印象づけるのは1995年の苅谷剛彦『大衆教育社会のゆくえ』(中公新書)を俟たなければならなかったのでは?

See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080812/1218480360