反学術的

承前*1

大阪経済大学立命館のAVスキャンダルを巡って、『夕刊フジ』曰く、


出演していたのがゲイビデオだったということも、大学スポーツの関係者たちに衝撃を与えている。だが、その道の人たちにとっては決して不思議なことではないという。同性愛雑誌「薔薇族」の伊藤文学編集長は「体育会の大学生はゲイの世界では昔から圧倒的人気。現役学生がバイトで出演することは珍しくなく、今後も(出演が)なくなることは絶対にない」と話す。


 「体育会学生をモデルにすることは、もともと私が約30年前に始めたもので、当時も名門大学の学生が多数応募してきました。彼らは練習漬けの毎日で、普通のアルバイトはできない。雑誌出演1回で5万円のバイト料は、ゲイではない“ノンケ”の学生にも極めて魅力的なのです。しかも、ゲイは特殊な世界なので顔を出しても親兄弟や友達にバレない安心感もある。彼らは卒業後も絶えることなく後輩を紹介してくれました。今回も、その流れで出演していた可能性がありますね」


 現在は雑誌よりもDVDなどの動画出演が主流で、バイト料もアップしている。大手成人雑誌の編集長は、「自慰行為や口技だけなら10万円前後。タチ(攻め手)役で15万−20万円、ネコ役(=受け手)もできるなら30万円にはなる。各ゲイビデオメーカーが自社のサイトで常に出演者を募集しています」と語る。


 中でもラグビー部員やアメフト部員は“ガチムチ系”と呼ばれてマニアに人気が高く、割増料金が支払われることもあるという。今回のアメフト部員は、顔出しで“ネコ役”をつとめていた。
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/fuji-320090714205/1.htm

「出演していたのがゲイビデオだったということも、大学スポーツの関係者たちに衝撃を与えている」。何故? 所謂ホモソーシャルな集団におけるホモセクシュアルの隠蔽と抑圧という奴か。
さて、この立命館の人、「ノンケ」の男性であるのに、〈挿入される〉立場を経験したわけだ。この経験が、ジェンダー観やセクシュアリティ観を初めとする自己の世界観の変容にどのように影響を及ぼすのか。このことをきちんと省察すれば、それなりに面白い学術的成果にはなると思う。そのような機会を与えることなく、「学生の本分にもとる」とかいった通俗道徳を振り回して「処分」を「検討」するというのは、それ自体が反学術的であり、反学術的であるが故に非難されるべきだろう。