韓国と漢字(メモ)

顧維華「“漢字缺失譲韓国陥入文化危機”」『東方早報』2009年1月15日
顧維華「文化的自信 離不開漢字」『東方早報』2009年1月15日



少し以前、1月の記事だが、今まで気づかなかったので、少しメモ。
韓国で朴正煕政権時代の1968年に廃止された義務教育における漢字教育の復活を求める「建議書」を、金鐘泌を含む現在生存している20名の韓国の元「国務総理」が連名で青瓦台に提出した。それによると、「ハングルのみ(専用韓文)」という「錯誤的文字政策」が1990年代以来の韓国の「文化危機」を産み出した。また、漢字がわからないので、少なからぬ韓国人が自国の(漢文で記された)古籍を理解し得ない。また、韓国語において日常的に使用される語彙の70%以上が漢語*1であるので、漢字がわからなければ意味を理解しがたい。
後の方の記事では、韓国人が漢字から遠ざかっていることの1つの例として、歴史ドラマ『淵蓋蘇文』*2の中で、隋の煬帝玉座の背後の屏風に毛沢東の詞「沁園春・雪」が書かれていたことが挙げられている。また、ハングルという文字が韓国のナショナリズムにおいて象徴的な価値を持たされている背景として、日本帝国主義による殖民地化の過程で、ハングル教育が禁止されただけでなく、大量のハングルの書籍が没収・焼却されたことが言及されている。ただ、日帝焚書までやったということは知らなかったのだ。
さて、内閣の首班、英語でいうprimierは韓国では「国務総理」、また中国では国務院総理。どちらも〈大臣〉という言葉を含まないばかりか、これらの国には「大臣」という肩書の人はいない。それはこれらの国が共和制を採用しているからだ。海外の共和制の国のministerを大臣と訳すことには以前から抵抗を感じていたが*3が、逆に天皇制に反対しながら「大臣」という言葉を抵抗なく使用できる人がいたら、嗤ってしまうということはある。