「公人」とは誰(メモ)

園田寿*1内閣総理大臣夫人・安倍昭恵氏は「公人」なのか「私人」なのか」https://news.yahoo.co.jp/byline/sonodahisashi/20170306-00068380/


安倍昭恵*2の「公人」性について。
「公職者」か「公的人物」か;


〈公職者〉とは、すべての公務員ではなく、国政に重大な影響を及ぼす可能性のある政治家や上級公務員のことです。このような人びとは、国民からの全人格的なチェックを受けるべきであるし、国や政府が下した決定、選択した行動については、国民が後から検証できることが民主主義にとって重要だという観点から問題になります。そして、それを保障するものが〈知る権利〉や〈表現の自由〉といった〈情報流通の自由〉なのです。

たとえば閣僚や国会議員、地方議員、知事や市区町村長などが〈公職者〉の典型例ですが、裁判官や検察官、上級警察官なども〈公職者〉に含まれます。もちろん、〈公職者〉の中でも、その影響力の大きさによって、私的な行為に与えられる保護の範囲は当然異なってきます。


〈公的人物〉については、議論が分かれるところです。国や政府の意思決定に直接の影響を与えるわけではありませんが、公的な場で政治的議論に積極的に参加したり、日頃の政治的言動を通じて名声や高い社会的地位を得たような人びとは、その行動が国民の批判にさらされる〈リスク〉を当然引き受けていると考えることができます。しかも、そのような人びとはメディアにアクセスする手段をもっています。批判に対して国民に反論する機会が与えられている人びとです。

場面場面で微妙な判断は必要でしょうが、一般には、たとえば大企業やマスメディアの幹部、ニュース・キャスター、政治的発言を行う学者・文化人、ジャーナリストなども〈公的人物〉と言ってよいかと思います。また、前首相や元首相のように、公職を退いてからもその活動が社会に大きな政治的影響を及ぼす可能性のある者も〈公的人物〉です。このような人びとは、その政治的影響力の大きさから、〈公職者〉ほどではないでしょうが、その私的な行為はある程度国民的議論の下に置かれ、プライバシーとしてのその保護は制限されざるをえないでしょう。

安倍昭恵の場合は?

安倍昭恵氏はもちろん〈公職者〉ではありません。昭恵氏は〈公的人物〉かどうかという観点から、公人であるかどうかが問題となります。「昭恵氏は私人だ」とする政府の見解は、彼女が〈公職者〉でないという当たり前のことを述べているにすぎず、あまりにも狭すぎる意見です。

昭恵氏は、従来から一定の政治的傾向をもった活動を行ってきたこと、また、その行動には、秘書や警備など、税金から多額の支出がなされていること、総理夫人としての社会的影響力は極めて大きいこと、何よりもプライベートな面で安倍総理にもっとも親しい人物であり、総理大臣がもっとも信頼を寄せている人物であることなどから、総理の政治的判断に対して大きな影響を与える立場にあります。私は、「昭恵氏は公人である」ということを前提として物事を考える方が妥当ではないかと思います。