宗和「“対繁体字的信心従未動揺”」『東方早報』2009年3月11日
現在開会中の「両会」(全国人民代表大会/全国政治協商会議)に全国政協委員の潘慶林が「逐歩恢復繁体字」を提案しているが、瑞典の中国学者、Goran Malmqvist(馬悦然)*1がそれを支持する発言をしているという――「馬悦然也承認、把在中国大陸使用了近50年的簡化字改回繁体字是需要付出一定代価的、但考慮到中国5000年歴史的伝承、以及漢字美学的表達、付出這些代価是値得的」。また、台湾の馬英九は「達到両岸“書同文”」を希望し、印刷用には繁体字を使用し、手書きの場合には簡体字も認めるという提案をしているが、これは妥当な案であろう。
中国では、1951年に毛沢東が将来における漢字の廃止と表音文字化の「指示」を出し、この「指示」の訂正も撤回もされていないにも拘わらず、漢字廃止政策は事実上放棄されている(阿辻哲次『近くて遠い中国語』、pp.104-105)。Goran Malmqvistは漢字廃止が「事実上根本是不可能的」だった理由として、漢語における方言の多様性を挙げている。漢語が完全に表音文字化されてしまえば*2、標準語の暴力的な圧制かアナーキーな混乱のどちらかを(或いは同時に)招いてしまう*3。
- 作者: 阿辻哲次
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