McDonald & Giles

Mcdonald & Giles [HDCD]

Mcdonald & Giles [HDCD]

キング・クリムゾンのオリジナル・メンバーであるイアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズがクリムゾン脱退後に制作したMcDonald & Gilesを数年ぶりに聴く。ちょっと引き込まれて、4回通しで聴いてしまった。1度目は漫然と聴き、2度目はジャズとして、イアン・マクドナルドのサックス/フルートとマイケル・ジャイルズのドラムとピーター・ジャイルズのベースの絡みを楽しむために聴いた(勿論、”Suite in C”におけるスティーヴ・ウィンウッドのオルガンも無視するわけにはいかない)。3度目は変転しまくるリズム・パターンに注目して。ジャズと変拍子というとクリムゾンそのままかも知れず、事実諸処にクリムゾンそのままのフレーズが登場するのだが、イアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズが参加したクリムゾンのIn the Court of the Crimson Kingにはなくて、ここにあるのはビートルズを彷彿させるポップさ、軽さ。In the Court of the Crimson Kingが陰だとすれば、こちらは陽といえるか。月に対する太陽(歌詞でもsunという言葉はけっこう使われている)。別の言い方をすれば、ここに感じられるのはLOVE & PEACEの多幸感である。特に、”Flight of the Ibis”や”Tomorrow’s People”ではそれがスピリチュアルな準位における〈新生〉と結び付けられている。マイケル・ジャイルズ作詞の”Tomorrow’s People”の歌詞では、


Even now the wall is old
And falling down
So love and live for the time is coming
For you and all


Tomorrow’s people are playing now
And tomorrow’s people could have
the world

と歌われている。また、”Is she waiting?”はフォーク風の繊細なラヴ・ソング。(アナログ盤ではB面全体を占めていた)大曲”Birdman”は空を飛んでしまった男の物語。これがいちばんクリムゾンぽいとも言えるのだが、やはりそこに悲劇性はない。

Weary from his journey
Birdman circled homeward
Gliding through the sunset
He very gently floated down
Down to the ground
(Lyrics by Peter Sinfield)
と終わる。
In the Court of the Crimson King

In the Court of the Crimson King