『在野策略』

『在野策略(Strategies from Within)』を観に、「可・当代藝術中心(Ke Center for the Contemporary Arts)」*1へ行く。何処かしらと思っていたが、3号線の延安西路駅前、よく行く「育音堂」*2の近くではないか。
『在野策略』はBiljana Ciricのキューレーションによるヴェトナムとカンボディアの現代アートの紹介。両国から15人のアーティストが出展している。作品は写真とヴィデオ作品が多い。
特に面白かったのは、Chan Dany(カンボディア)による色鉛筆の削りかすを利用した”Evolution”という作品。また、Phe Sophon(カンボディア)による夥しいスプーンを積み上げた立体作品、”Spoon”。さらに、Sopheap Pich(カンボディア)の竹と籐を素材としたインスタレーション、”Double Funnel”。
出展しているカンボディアのアーティストは、幼少の頃にクメール・ルージュの迫害から難民として外国に逃れた人々か、1980年代前半、つまりヴェトナムの侵攻によってクメール・ルージュ政権が放逐された直後に生まれた人々かである。だから、作品によっては、こうしたカンボディア現代史が色濃く刻み込まれているものもある。例えば、カリフォルニアにおけるカンボディア難民の文化的アイデンティティの問題を伝統的舞踊の復興を通して問うたJohn Bishopのヴィデオ作品”Seasons of Migration”。また、Rithy Panhのヴィデオ作品はそのものずばり”S21-The Khmer Rouge Killing Machine”。それに対して、ヴェトナム人アーティストの場合は、革命にせよ米国との戦争にせよ、ネタとして距離を取る余裕みたいなものが生じている感じがした。
『在野策略』のカタログは、値段がかなり高かったものの、ヴェトナムやカンボディアの現代アートについての資料がなかったので、買ってしまった。
See also


Rebecca Catching “Voices from the Mekong” that’s Shanghai September 2008, pp.46-47