大人の反応?

承前*1

松村喜秀秋葉原通り魔事件 〜 人生はリセットできない」http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/ea/27/index.html


http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20080708#1215449604にて知る。この松村さんという方がどういう人なのかは知らない。でも、世間の所謂大人(オヤジでも可)の反応というのはこんなもんじゃないかと思った。
幾つか気になったところ。松村さんは秋葉原が「オタクやゲーム、アニメの街になってしまった」ことを嘆いている。これはわからなくもない。かなり以前に指摘したように*2秋葉原というのはそもそも重層的な側面を持つ街だからである。
さて、松村さんは「二次元」*3問題に言及している。曰く、


先日、テレビか何かで見たのだが、ゲームに登場する女の子の誕生日に、オタクの男性がケーキを買ってきた。そして、テレビ画面にその女の子を映し出し、「○○ちゃん、お誕生日おめでとう」と言いながら、ケーキをうれしそうに食べていた。

 これがやらせでないなら、もはや異常だ。異常という言葉が悪ければ、あきらかに現実からはるか遠い世界だ。

たしかに、こういうシーンに出会せば私もキモいと感じるだろうが、「ニジコン」なんていう言葉は遅くとも1980年代前半からあった言葉だ。また、加藤智大が「二次元」に執着していたから殺人したということもいえない。http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080717/1216261185で言及したhttp://d.hatena.ne.jp/NaO/20080713#p1によれば、寧ろ執着できなかったからこそ、凶行に及んだということになる。私は

誰かを殴れば私も手が痛い。また、ナイフで刺すにしても、ナイフが他者の皮膚を、また脂肪を刺し貫こうとするとき、やはり物理的抵抗を受けないことはない。さらに、他者の悲鳴や呻き。また、血、返り血。これらから、それが「記号」ではなく「生身の身体」であることを了解するのに大した想像力は要らないだろう。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080616/1213547154
と書き、「「二次元」の快楽がさまざまな感覚を削ぎ落とした上で存立している」ことを指摘した*4。もしかしたら、加藤智大は「二次元」ではなくて「生身の身体」の感覚を恢復したくて、凶行に及んだと言えてしまうかも知れないが、そんなことは加藤本人に訊いてみないとわからない。さらに、加藤が本当に「人生はリセット」できると考えていたのかどうかも、同様に本人に訊いてみないとわからない。
また、松村さんは〈刀狩り〉を提唱している。そういえば、英国では(でも?)若い連中によるナイフを使った犯罪の増加が問題となっているという。因みに、英国は日本と同様に銃との縁が深くない社会である;


SARAH LYALL “Officials Struggle With Rise in Knife Crimes Among Britain’s Youths” http://www.nytimes.com/2008/07/17/world/europe/17knives.html


そういえば、英国は切り裂きジャック(Jack the Ripper)の国であった。