2008年3月2日 18時29分付けの『毎日新聞』の記事;
この「反対の理由」というのが選択肢のリストから選ぶ方式なのか、それともフリー・アンサーをコーディングしたものなのか、よくわからない。また、質問の性質からいって、複数回答が許容されるべきだと思うが、そのことへの言及は記事にはない。ところで、「親の許可なく消費契約を結べるのが心配だから」とあるが、現在でも保護者の承諾なくして契約等の経済行為ができるのは18歳以上ではなかったっけ。また、18歳以上になれば、やはり保護者の承諾なくして結婚もできる筈だ。飲酒・喫煙も事実上は18歳以上であり、大学の新入生歓迎コンパが警察の手入れを受けたなんていう話は聞いたことがない。個人的には、20歳になったのを機に煙草を止めた人は知っているが、20歳になるのをまって煙草を吸い始めたという例は知らない。成人映画も18歳以上であり、「成人年齢」云々といえば、参政権が絡んでいるということは誰にとっても明らかである筈だ。事実、「法制審議会に諮問」というのも改憲絡みの国民投票法制定に関係している。そのことに調査する側もされる側も無関心だというのはちょっと奇妙だと思った。
毎日世論調査:「18歳成人」6割が反対 精神的に未熟だ毎日新聞が1、2の両日に実施した電話による全国世論調査で、成人年齢を18歳に引き下げることの是非について尋ねたところ、「反対」との回答が60%を占め、「賛成」の36%を大きく上回った。男女別では女性の66%が「反対」、男性は52%にとどまり、女性に「反対」の回答が目立った。鳩山邦夫法相は先月13日、民法を改正し「成人」年齢を引き下げるかどうかについて法制審議会に諮問したが、国民の間では慎重論が根強いことをうかがわせた。
反対の理由は「精神的に未熟だから」が69%と圧倒的に多く、「18歳から飲酒・喫煙が認められるのが心配だから」(16%)▽「親の許可なく消費契約を結べるのが心配だから」(14%)を大きく離した。また年代別にみると、男性の30〜50代は「反対」と「賛成」がほぼ拮抗(きっこう)していたが、女性はどの年代も「反対」が6割を上回った。18歳前後の子どもを持つ主な世代にあたる40代女性は「反対」が7割を超え、各年代でトップの73%だった。
一方、賛成の理由を見ると、「若い人に自覚を促し、責任を持たせることができるから」が62%で最も多く、「十分に責任をとれる年齢だから」(29%)、「18歳成人が、欧米各国の主流だから」(9%)を上回った。【有田浩子】
http://mainichi.jp/select/today/news/20080303k0000m040024000c.html
「成人年齢」問題に関しては、「ネットエイジア」*1という会社が、未成年者(12歳〜18歳)はどう思っているのかということを調査している。これは携帯電話を使った調査で、サンプリングのランダム性については眉に唾をつけなければならないとは思うが。それによると、
ということだ。
◆ 成人年齢を18歳にとの検討、「知っていた」63.8%
現在、成人年齢を今の20才から18才に引き下げようと検討していることを「知っている」と回答したのは全体で63.8%。
その質問に先駆けて「イメージする大人(オトナ)の年齢」を聞いたところ(選択肢:17歳以下、18歳から29歳まで1歳刻み、30歳以上)、「20歳」が39.2%、「25歳」16.7%、「30歳以上」7%が上位に挙がっている。また、18歳成人が検討されている背景を説明せず、成人年齢を今の20才から18才に引き下げることについて聞いたところ、「賛成」が20.4%、「反対」34.1%と反対派が賛成派を上回った。「わからない」は16.2%、「どちらでも良い」が29.2%だった。◆ 成人年齢引き下げの背景を知った上では、「賛成」32.3%、「反対」26.9%
成人年齢を今の20才から18才に引き下げることについては2つの流れがあるといわれる。1つは一連の少年事件を受けて、現行の少年法で20歳未満を「少年」としているのを引き下げ、18歳、19歳の犯罪に対する刑罰を厳しくする狙い。
もう1つは、選挙権を18歳に引下げて、若者層の政治参加を促すという動き。その背景をアンケート上で説明した上で再度、18歳成人について聞くと、「賛成」が32.3%で説明前より10ポイント以上高くなった。「反対」は26.9%と比率が下がった。「わからない」は16.9%、「どちらでも良い」が23.9%だった。
http://www.value-press.com/pressrelease.php?article_id=22273&php_value_press_session=3c6a0aa28624605344586785c0a9160a
ところで、
という意見あり。
成人年齢を18歳に引き下げる案は民主、公明、共産、社民各党がかねてから主張していたが、自民党は終始消極的であった。やはり小泉総理の登場が自民党の態度を変えたと思う。選挙権を18歳から付与することに対し、自民党内では長らく「野党に有利だ」というのが定説であった。かつては2自民党は年齢が下がるほど支持率が低下していたのでそういう想定が成り立つ。
ところが郵政選挙で、20代の自民党への投票が異常に高かった。その傾向は安倍内閣時代も続き、20代は70代に次ぐ自民党のお得意さんになっている。福田政権になって20代の自民党支持率に翳りは見えているものの、小泉時代の遺産から30台〜50台に比べると依然として高い。
また大阪府知事選挙では20代で極端に橋下知事に傾斜した投票傾向が見られた。今後自民党が麻生太郎のような若者受けする総裁が現れれば、「若者に支持される自民党」はすぐに復活するであろう。
その意味で、そのすぐ下の世代も、潜在的自民党支持世代という可能性が高いという期待も強いはずだ。
http://d.hatena.ne.jp/kechack/20080214/p1
ただ、若者の保守化というのはここ5年10年の間に起こったことではない。以前も言及したように、遅くとも1970年代から言われていた*2。その頃も、選挙権を付与する年齢を引き下げれば自民党支配は安泰だというようなことはよくいわれていた。