Splash

スプラッシュ [DVD]

スプラッシュ [DVD]

火曜の早朝、NHK BSでロン・ハワード監督の『スプラッシュ』を観る。トム・ハンクス出世作。人魚(ダリル・ハンナ)が紐育のマンハッタンに現れるというラヴ・コメディ。この映画は異族(異種?)との恋愛(結婚)ということを通じて、移民問題エスニシティ問題を語っているのではないかと思ったのだが、どうだろうか。NYTのレヴューで、Janet Maslinさんが"Much of the humor grows out of the way in which the mermaid, who takes the name Madison after the avenue, reacts to strange new stimuli, such as Crazy Eddie commercials on television."と語っているように、ギャグの多くはダリル・ハンナ(マディソン)の経験するカルチャー・ショックに由来する。また、トム・ハンクス(アレン・バウアー)はダリル・ハンナに自分の会社で働けば就労ヴィザが取れるよという。ただ、結末は移民が米国に同化・定住するのではなく、トム・ハンクスが恋のために米国を捨てて、海の世界へ移住することになる(これはネタバレ)。
この映画では、トム・ハンクスダリル・ハンナ以外の脇のキャラが魅力的だ。先ずはアレンの兄貴のフレディ(John Candy)。彼はデブの助平で、幼少の時からわざとコインを落として、コインを拾いながら、女性のスカートの中を覗くという癖を持っている。それから、Eugene Levyが演じるウオルター・コーンブルース。人魚を追いかける生物学者。最初は徹底的にストーカー的なキモオタとして描かれるが、最終的にはいい奴なんだということが判明する。
人魚というアイデンティティコーンブルースによって暴露されてしまったマディソンは、米国政府によって拉致され、American Museum of Natural Historyの実験室に監禁されてしまう。そこを瑞典の科学者が訪問することになっている。人魚ということで瑞典が出てくるのはベタすぎるが、これは一応アンデルセンへのオマージュなのだろうか。それはともかく、アレンとフレディとコーンブルースの3人組がマディソンを救出するために、博物館に瑞典の科学者を装って侵入する。守衛は瑞典系で、3人に瑞典語で話しかける。フレディは瑞典語で受け答えをして、まんまと突破してしまう。どこで、瑞典語を覚えたのか。瑞典映画を500本観て。但し、ベルイマン*1などではない。今はどうか知らないが、瑞典というのは社会福祉とフリー・セックスとポルノの国として有名だったのだ。米国でもそうだったのか。
それから、この映画は忘却していた初恋の反復という主題がある。この主題を後に反復したのがTVドラマの『ダーマ&グレッグ』だったということを思い出した。