先ずは『読売』の記事;
「ペッパー警部」は助けに来てくれなかったのかというのはともかく、この記事を紹介しているなんばさんの
食事中の女性客を拉致し暴行、ステーキ店長ら逮捕…大阪大阪・ミナミのステーキチェーン店「ペッパーランチ」心斎橋店で、食事中の20歳代の女性客を拉致し、乱暴するなどしたとして、大阪府警南署が、同店店長北山大輔(25)(泉佐野市)、店員三宅正信(25)(大阪市西成区)の両容疑者を強盗強姦(ごうかん)と逮捕監禁致傷の疑いで逮捕していたことがわかった。
2人は「女性を囲っておくつもりだった」と供述しているという。
調べでは、北山容疑者らは9日午前0時20分ごろ、大阪市中央区の心斎橋筋商店街近くにある同店で、閉店作業を装って店のシャッターを閉め、1人で食事中だった女性客を「逃げたら殺す」とスタンガンで脅し、無理やり睡眠薬を飲ませて泉佐野市内の貸しガレージまで車で連れ去って乱暴したうえ、5万5000円入りの財布を奪った疑い。
当時、店内には他に客はいなかった。
女性はその後も手足を縛られたままガレージに止めた車の中に監禁されていたが、同9時すぎ、自力で脱出して近所の人に助けを求めた。通報を受けた同署員が、事件後に再び出勤していた北山、三宅両容疑者を任意同行し、逮捕した。
2人は事件当時、制服姿で、調べに対し、「インターネットなどでスタンガンや睡眠薬を購入し、女性客を物色していた」などと話している。
「ペッパーランチ」は、レストラン経営や食材販売などを手がけるペッパーフードサービス(東京)が1994年から200店舗以上を展開、ステーキやハンバーグなどを手ごろな価格で提供している全国チェーン。
(2007年5月16日14時33分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070516it04.htm
という考察は重要だろうと思う。
一度こういう事件があると「何も考えずに済む」という安心は失われてしまう。せいぜいできることと言えば不安を打ち消すことだけだ。それには心配しなくていいと納得できるだけの理由をわざわざ用意する必要があり、それには心理的にも社会的にもコストがかかる。最近心ある人の間では「治安は悪化していない」「確率的にはたいしたことはない」「それより交通事故に気を付けろ」みたいなことが言われていて、ミギー萌えの僕としても個人的にはそういう考え方を支持するのだけど、そういう物言いがどこまで通用するかというと何とも心許ない。みんな今まで統計や確率計算で「安心」していたわけではないのだから。
「まん延するニセ科学」のキーワードである「合理的な思考のプロセス」は大事だが、これは一般人には導入コストが高く、ニーズにも十分応えられない。二分法は不合理と言ってみても灰色の世界は不安であり、不安の解消こそが望まれているのだから。
「合理的な思考のプロセス」を大事に、というメッセージには、不安を抱えたままタフに生きろ、あるいは「コントロール可能な脅威はもはや脅威ではない」とドライに割り切れ、というような裏メッセージが隠れている。失われた「安心」を夢見て二分法にすがる人たちには、その裏メッセージこそが受け入れがたいのだと思う。
http://d.hatena.ne.jp/rna/20070516/p1
多分、そこで関係してくるのは、「不安を抱えたままタフに生きろ」というよりは、安んじて「合理的」に振る舞うためには、一見するとそれとは相反するのではないかという非合理的なものを生きる必要があるということなのか。例えば、信仰と呼ばれるもの。また、そうなると、「不安」において信仰できるのか、或いは「不安」だからこそ信仰ができるのかということに問題は回付されてしまう。